リア・サスペンションの機能美 アウディeトロン GT 長期テスト(3) 当初の不安は払拭
公開 : 2023.08.19 09:45
機能美溢れるリア・サスペンション
さて最近、eトロン GTはタイヤを外す機会があった。スローパンクの傾向があり、タイヤショップで見てもらうと、トレッド面の中央にビスが刺さっていた。幸い、修理可能な部分だった。
作業時はリフトアップされ、eトロン GTの下側を観察する絶好の機会になった。排気系などがないおかげで、駆動用バッテリーが敷き詰められたシャシーの底面は、完全なフラット状態だ。
リアのディフューザーはかなり大きい。コントロールアームには、空気の流れを整えるフィンが付いている。いずれも、航続距離を1kmでも伸ばすために有用なアイテムなのだろう。
リア・サスペンションは、機能美に溢れる。複数のリンクが交錯し、構造を理解することは難しい。アッパー・コントロールアームは、エアスプリングを避けるように滑らかにカーブを描く。ボディとのクリアランスを保つため、斜め下方にえぐられてもいる。
後輪操舵システム用の電動アクチュエータとのリンケージも組み込まれ、ロワー・ウイッシュボーンは巨大。アンチロールバーとダンパーが、その隙間に収まっている。この複雑な構成で、一般道でのしなやかな乗り心地を叶えているわけだ。
殆ど隙間がないように見えるが、お互いが干渉せず、ボディに当たることなく、タイヤが上下に動くことへ感心する。マクラーレンの技術者へ写真を見せると、こう呟いた。「ポルシェの最近のリア・サスペンションは、見事なパッケージングですね」。と。
テストデータ
気に入っているトコロ
カタパルト発進のような加速:530psと65.1kg-mを発揮することは殆どない。しかし、追い越しはあっという間に完了できる。
気に入らないトコロ
ピアノブラックの内装トリム:グローブボックスには、メガネクロスを常備している。センターコンソール周辺の内装トリムやタッチモニターには、盛大に指紋が残る。
テスト車について
モデル名:アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
新車価格:11万2850ポンド(2031万円)
テスト車の価格:11万6315ポンド(約2093万円)
テストの記録
航続距離:426km
電費:4.5km/kWh
故障:スローパンク(30ポンド:約5000円)
出費:なし