一度見たら忘れないホイールデザイン 23選 外観を決定づけた象徴的なアイテム

公開 : 2023.08.06 18:05

トルクスラスト(1963年)

1960年代の米国のマッスルカーは、アメリカン・レーシングが設計・製造したトルクスラスト・ホイールなしには語れない。そのエレガントでシンプルなデザインは、ストリートレースカーやストリップカーの多くを飾った。

トルクスラストはスチール製が主流だった時代にマグネシウム合金で作られ、当時の人気マッスルカーのすべてに適合するよう、さまざまなサイズが用意された。また、カスタムカーのビルダーにも好評で、アメリカン・レーシングは現在も膨大な種類のサイズとデザインのトルクスラスト・ホイールを販売している。

トルクスラスト(1963年)
トルクスラスト(1963年)

ACコブラ・ハリブランド(1965年)

ACカーズは初期のコブラにワイヤーホイールを装着したが、キャロル・シェルビー氏が米国でコブラを手に入れたとき、合金のスペシャリストであるテッド・ハリブランド氏のホイールに変更した。このホイールは、大排気量エンジンのパワーに対応するために必要なものであり、バネ下重量を軽減してハンドリングを向上させるのに一役買った。

今では一目でそれとわかるデザインでありながら、コブラ427は公道用および競技用としてわずか348台しか製造されなかったのは驚くべきことである。一方、フォードはル・マン耐久レーサーのGT40にも同じホイールを使用した。軽量かつ高強度、さらにシングルスピナーのおかげで交換が容易だったからだ。

ACコブラ・ハリブランド(1965年)
ACコブラ・ハリブランド(1965年)

フックス(1966年)

クラシック・ポルシェのフックスホイールの起源は、なんと第二次世界大戦に遡る。ポルシェとホイールメーカーのオットー・フックス・メタルは、ドイツ軍のVI号戦車(ティーガーI型)の開発に共に取り組んだのだ。そのため、ポルシェが1966年に911 Sのために新しい軽量ホイールを必要としたとき、フックスは当然の流れとしてパートナーとなり、高性能車の負荷に対処できる鍛造合金ホイールを製造すべく、全く新しい製造プロセスを考え出した。

シンプルでエレガントな5本スポークのデザインは、ポルシェのデザイナーであるハインリッヒ・クリエ氏によって考案されたもので、1本あたり3kgの軽量化を実現した。1本製造するために58の工程を要したが、このデザインは現在も受け継がれており、2014年の911スポーツクラシックのほか、914や944といった他のシリーズにも採用されている。

フックス(1966年)
フックス(1966年)

ロスタイル(1967年)

ロスタイルホイールは、アメリカン・マッスルカーから上品なローバーP5Bまで、あらゆるクルマに採用された。米国ではマグナム500として知られており、英国ではルベリ・オーウェン社によってライセンス生産され、フォードやヴォグゾール、レイランドに供給された。

ロスタイルは、合金製ホイールに見えるよう意図的に作られているが、実際はプレススチール製である。盛り上がったスポークはアルミニウムグレー、それ以外はブラックで仕上げられ、実際よりも高価に見せた。英国車でこのホイールを装備したのはローバーP5Bが最初で、1986年のレンジローバーが最後である。

ロスタイル(1967年)
ロスタイル(1967年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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