リアルでソウルフル　芳醇な運転体験

キャビン中央のトランスミッション・トンネルには、2つのダイヤルが並ぶ。1つは、トラクティブ社製の調整式ダンパー用。もう一方は、トラクション・コントロールのセレクターだ。

今日は雨で濡れた高速道路がメイン。サスペンションは柔らかめにし、トラクション・コントロールは安全志向にした。ドライのサーキットなら、真逆を選ぶだろう。

F22の操縦性は、精度が高く滑らか。乗り心地はしなやかだが適度に引き締まり、圧倒的に強力な5気筒エンジンの全力を引き出せそうな自信が湧いてくる。フロントからは、ターボがシューッと音を立てる。

潤沢なパワーが即座に放たれる。印象はリアルでソウルフル。最新のバッテリーEVでは、2000psを誇ったとしても、叶えられないほど芳醇な体験だといえる。

ケータハム・セブン 620Rのように、自在に振り回せる特性ではない。一般道の限り、フロントアクスルへ荷重を移動し、リアアクスルを外側へ意のままにスライドさせることは簡単ではないようだ。

それでも、F22は望外に楽しい。現実的に許される速度域でも、安定感の高い見事なバランスを味わえる。サーキットの速度域なら、中毒性の高い時間へ没頭できるに違いない。

確かに、意見を二分する価格ではある。しかし、現代のスーパーカーとは別の次元でドライバーを惹き込む。ライトウエイト・モデルでは達成し得ない、親しみやすさやマナーも備えている。

ドンカーブートF22は、やはりカテゴライズが難しい。孤高の傑作だといっていい。

ドンカーブートF22（欧州仕様）のスペック

英国価格：25万2000ポンド（約4536万円）
全長：4039mm
全幅：1912mm
全高：1105mm
最高速度：289km/h
0-100km/h加速：2.5秒
燃費：14.1km/L
CO2排出量：195g/km
車両重量：750kg
パワートレイン：直列5気筒2480ccターボチャージャー
使用燃料：ガソリン
最高出力：507ps/6360rpm
最大トルク：65.1kg-m/5150rpm
ギアボックス：5速マニュアル（後輪駆動）

画像　ロータス・セブンの究極進化形　ドンカーブートF22　ケータハムとロータスMk6も　全127枚