トヨタGR86 規制対応でハイブリッド化、2025年に新型登場か ガズー初の電動スポーツカーへ

公開 : 2023.08.04 21:05

トヨタGR86が早ければ2025年にもフルモデルチェンジする可能性があります。GRヤリスの1.6L 3気筒ターボをハイブリッド化し、ボディも再設計することで環境・安全規制への対応を図ると見られます。

2025年にフルモデルチェンジも?

トヨタは早ければ2025年にも、スポーツカーのGR86をフルモデルチェンジし、新しいプラットフォームをベースに、GRヤリスの1.6L 3気筒ターボエンジンのハイブリッド・バージョンを導入する可能性がある。

一部報道によると、2021年に発売された現行型GR86は、将来的に燃費・排出ガス基準に適合しなくなるため、2025年までに販売から除外するという。

環境規制や欧州安全基準への対応から、GR86は全面的に刷新される可能性がある。(画像は予想レンダリングCG)
環境規制や欧州安全基準への対応から、GR86は全面的に刷新される可能性がある。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

また、もう1つの要因として欧州安全基準への対応が挙げられる。現行型のフロントガラスの寸法で、来年から欧州で義務付けられる先進安全システム(信号認識カメラなど)に合わなくなる可能性があるためだ。

7月中旬に英国で開催された自動車イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023」において、トヨタの副社長兼チーフ・テクニカル・オフィサー(CTO)である中嶋裕樹氏がAUTOCARの独占インタビューに応じている。この時、中嶋CTOは次期型GR86のハイブリッド計画について明言を避けたが、そのようなクルマが「良いアイデア」であることには同意した。

「ハイブリッド・システムは環境対応車にとって常に良いソリューションです。乗用車だけでなく、スポーティなクルマにおいても」

「当社は、バッテリーEVモデルよりも低価格でハイブリッド車を製造することができますし、運転を楽しくする方法もわかっています」

中嶋CTOはこのように述べ、内燃エンジンを部分的に搭載したハイブリッド車の販売が英国と欧州で禁止されるまでには、まだ12年近くあるとした。

GR初のEV 鍵はバッテリーの高さ

トヨタは長年、ハイブリッド技術の長所を積極的にアピールしており、現在限られたバッテリー資源をより効率的かつインパクトのある形で使用するソリューションとして提案している。

トヨタのモータースポーツ部門であるガズー・レーシング(GR)は、当然ながらハイブリッド技術でも実績があり、2018年から2022年にかけて、ル・マン24時間レースにTS050とGR010を投入して5回の優勝を飾っている。しかし、GR010の公道モデルである「GRスーパースポーツ」の計画は2021年に棚上げされ、同部門の市販スポーツカー・ラインナップは、今のところ完全に内燃エンジン車のみである。

トヨタ副社長兼CTOの中嶋裕樹氏
トヨタ副社長兼CTOの中嶋裕樹氏    トヨタ

EVのGRモデルについて、中嶋CTOはフロアパンに搭載される駆動用バッテリーの高さを低くすることが、より低く、よりスマートで、より面白いクルマを作るために必要な「突破口」になると語った。

バッテリーの高さを低くすることは、トヨタが将来作りたいと考えているダイナミックで魅力的なセダンやスポーツカーにとって「成功への鍵」であるという。なぜなら、空力的に有利なボディ形状になると同時に、前面投影面積を減らし、「エモーショナル」なデザインを実現できるからである。

優れたエアロダイナミクスと、トヨタが量産化を目指す全固体電池を組み合わせれば、1000kmを超える航続距離も「それほど特別なものではない」と思えるようになるだろう。

中島CTOは、「空調システムのような主要部品も小型化すれば、カウルの高さを下げて非常に優れたCd値を得ることができます。1000kmの航続距離も簡単に実現できます」と述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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