期待以上にスポーティ ベントレー・ベンテイガ S ハイブリッドへ試乗 3.0L V6エンジンは継続
公開 : 2023.08.17 08:25
ベンテイガのハイブリッドがアップデート。モーターとバッテリーの能力を高めたV6エンジンのSを、英国編集部が評価しました。
ハイブリッド・システムをアップデート
電動化技術を導入し、バッテリーEVへシフトするタイミングを見極めるのは、簡単なことではない。ベントレーのように、少量生産の高級ブランドでは特に。
生産数の多いBMWやメルセデス・ベンツ、ランドローバーなどからは、電気の力だけで100km前後を走れると主張される、プラグイン・ハイブリッドが販売されている。大型の電動SUVも、順次提供が始まっている。
ベントレー・ベンテイガを選ぶ層は、ガソリン代や税金を細かく気にすることはないかもしれない。各社の戦いを静観する、多少の余裕はあるのかもしれない。だが、のんびりしていられないことは間違いないと思う。
ランドローバー・レンジローバーのプラグイン・ハイブリッドは、一度の充電で112kmもエンジンを回さず走れる。自分のベンテイガ・ハイブリッドは50kmにも届かないという事実に、疑問を抱く既存オーナーがいないとは限らないだろう。
グレートブリテン島の中西部、クルーに拠点を置くベントレーは、2019年に同社初のハイブリッドとなるベンテイガ・ハイブリッドを発表。リムジンのフライングスパー・ハイブリッドの開発を経て、SUVにもアップデートも実施した。
英国仕様では、ベンテイガ・ハイブリッドにはコンフォートなアズールと、スポーティなSが設定されている。今回は後者のS ハイブリッドで、変化ぶりを確かめてみたい。
V6エンジンは継続 期待以上にスポーティ
ボンネットに収まるエンジンは、フォルクスワーゲン・グループのEA839型V6ガソリンターボで、これは従来どおり。フライングスパー・ハイブリッドに搭載される、パワフルな2.9L V6ツインターボには置き換えられなかった。
駆動用モーターは改良を受け、136psへ増強された。駆動用バッテリーの容量も18.0kWhへ増え、電気の力だけで走れる距離は僅かに伸ばされている。
フロントバンパーや車内のシートも、スポーティなデザインのものが与えられる。お望みなら、カーボンファイバー製のトリムでボディを飾ることも可能。ただし、実際のドライビング体験には大きな違いは生まれていない。
ベンテイガ S ハイブリッドにはV8エンジン版のSと同じ、ダンパーの減衰力が15%強化された、アダプティブ・エアサスペンションが装備される。だが、ハイブリッドシステムとの場所の兼ね合いで、アクティブ・アンチロールバーは省かれている。
V8エンジン版のSより車重は220kg多いにも関わらず、姿勢制御は良好。ステアリングは正確に反応し、ハイペースで連続するコーナーを巡っても、落ち着いた身のこなしを維持する。ベントレーらしい乗り心地も保たれている。
S ハイブリッドのドライビング体験は、期待以上にスポーティ。魅惑的といっていい。