絶滅危惧… 高性能FRセダン「スカイライン・ニスモ」登場! 200万円差の価値は?

公開 : 2023.08.08 10:33

日産が「スカイライン・ニスモ」を発表。1000台だけの限定モデルで、セダン派は見逃せません。試乗レポートをお届けします。

スペックの見どころはトルク増

プレスリリース紹介文は「スカイラインは2代目となるS5系から、グランドツーリングカーを象徴するGTの名称を冠しました」の一文から始まる。

スカイラインと高性能ならサーキットでの伝説が枕詞のように使われるが、スカイライン・ニスモの原点は「GT」なのだ。

スカイライン・ニスモ(ダークメタルグレー)
スカイライン・ニスモ(ダークメタルグレー)    池之平昌信

スカイライン・ニスモは、スカイライン400Rをベースに開発された“カスタマイズされたモデル”である。

MCによる車種整理の結果、現在のスカイラインのラインナップは3LのV6ターボを搭載したFRモデルのみの構成となったが、400Rは専用チューン(現在はフェアレディZにも搭載)により最高出力を101psアップの405psとしたシリーズ最速モデル。それを、日産直系カスタマイズブランドのNISMOの手で性能向上が図られている。

興味深いのはパワースペックだ。

400Rに対して最高出力増は15psでしかなく、割合にすれば4%弱の増加である。

対して最大トルクは16%弱の増加となる56.1kg-m。全域で400R用を上回るトルクを発生するが、トルク特性はピーク値以上に中庸域での動力性能向上を狙っているのが見て取れる。これも冒頭で述べた「GT」へのこだわりの1つと理解できる。

「上手い!」 そう感じたこと

420psにも達する最高出力のエンジンをしてダウンサイジングターボというのは語弊があるが、そういった一面も持っているのがスカイライン・ニスモ用のパワートレインだ。

ダウンサイジングターボの特徴の1つに低負荷域のドライバビリティのよさがあるが、スカイライン・ニスモも低負荷域で扱いやすい。

スカイライン・ニスモ(内装色ブラック/専用チューニングRECARO製スポーツシート)
スカイライン・ニスモ(内装色ブラック/専用チューニングRECARO製スポーツシート)    池之平昌信

過給タイムラグを先読みしてペダルコントロールする必要もなく、浅い踏み込みの加減速も滑らかにこなす。高速巡航の速度維持も、極低速の駐車場などの扱いも容易だ。400ps超のスペックに身構える必要もコツも不要なのである。

低中負荷のドライバビリティのよさは「GT」らしさの要点でもある。ペダル踏み込みの量と速度からドライバーの意志を汲み取るのが実に上手い。

速い踏み込みではダウンシフトを併用するが、アップシフトを抑え気味に、3000rpm台の回転域を繋いでいく。いたずらに回転数を上げずに伸びやかに加速する。400ps超の全開パワーがもたらす昂揚感や刺激も魅力だが、低中負荷域での穏やかかつリズミカルな“対話感のある操り心地”が印象的だ。

速さを求めても、悠々とした余力感を求めても、的確に応えてくれる。状況に応じてパワートレインを操る様々な楽しさ・手応えが得られるのが何よりの魅力である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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