1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 4台比較 中編
公開 : 2023.08.20 07:06
1980年代に生み出された、2+2のエキゾチック・モデル。ポルシェ、ルノー、フェラーリ、ロータスの4台を英国編集部が振り返ります。
自然吸気のポルシェとは異なる楽しさ
ポルシェ911 カレラ3.2 SEは、常に濃密。タコメーターの針を急上昇させれば、テノールのボリュームが高まり、ホエールテールを背負ったクーペは一気呵成に速度を増す。乗り心地は驚くほどしなやか。シャシーは路面をひたひたと掴む。
コーナーで慎重に扱いすぎると、アンダーステアへ転じる。意志を持ってアクセルペダルへ角度を与えれば、リアアクスルから旋回していく独特の操縦性を堪能できる。コーナーの頂点へ高速に吸い込まれ、強い一体感でドライバーを満たす。
リアエンジンのルノー・アルピーヌ GTA V6ターボも同様。ターボチャージャーが2.5L V6エンジンにパワーを加算し、ステアリングは鋭い。サスペンションは引き締まり、狙い通りにラインをトレースできる。だが、特性は911 カレラ3.2より遥かに手強い。
5速マニュアルのレシオはロングで、太いトルクを活かした高速走行向き。アンダーステアを抑え込みたいワインディングでは、ブースト圧の上昇を先読みする必要がある。同じRRでも、自然吸気のポルシェとは異なる楽しさがある。
ルノー5 ターボも手掛けたデザイナー、イヴ・リーガル氏によるモダンなスタイリングが想起させる通り、高速道路では安楽に疾走してみせる。ドライバーの背後から、控えめな咆哮を放ちながら。
空気抵抗は驚くほど低く、自然吸気のGTAではCd値が0.28だった。吸気用のアイテムが追加されたGTA V6ターボでは0.30へ上昇していたが、同時期の911は0.39もあった。
ジュニア・スーパーカーらしい印象
インテリアを手掛けたのは、巨匠、マルチェロ・ガンディーニ氏。レザー張りのシートが豪華で、カセットテープ・ステレオユニットには5音域のイコライザー付き。911 カレラ3.2のライバルとして、内外ともに見劣りしない。
洗練された容姿の内側には、1971年のクーペ、A310用シャシーがアップデートされて隠れている。それ以前のアルピーヌと同様に、FRP製ボディが接着剤でスチール製の構造へ固定されていた。
A310と比べて、エンジンの搭載位置は40mm前方へシフト。前後重量配分は38.1:61.9となり、若干改善されていた。
前後とも、サスペンションはアンチダイブ設計が施されたダブルウィッシュボーン式で、ダンパーは専用品。タイヤサイズはフロントが195/50、リアが225/50で、ジュニア・スーパーカーらしい印象を与えた。
リアに載る、プジョーとルノー、ボルボによって共同開発されたPRV V6エンジンも先代譲り。それでもルノーは、ポルシェなど高性能化が進むスポーツカーと互角に戦うことを目指して開発を進めた。
実際、モータースポーツでは一定の成果を挙げ、以前から築いてきた技術的な評判も手伝い、前衛的な見た目のアルピーヌ GTA V6ターボは同社にとって重要なモデルになっていた。同じエンジンを積む5ドアハッチバック、ルノー25 ターボと並んで。
アルピーヌ GTA V6ターボでは、2.5LのPRVユニットにインタークーラーを装備。吸排気は独自設計で、燃料インジェクションが与えられ、25 ターボから18psと0.4kg-m増強されていた。
画像 1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 現代版モデルも 全146枚