1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 4台比較 中編
公開 : 2023.08.20 07:06
2+2のクーペとして不満の少ない移動体験
V6エンジンとフロントシートの間に設けられたリアシートは、平均的な大人が座れるサイズ。手荷物置き場のようなポルシェ911や、不自然に座面が凹み体育座りを強いるロータス・エクセルより、遥かに過ごしやすい。
それらより2+2のクーペとして不満の少ない移動体験を約束したのが、グラスエリアの大きいフェラーリ・モンディアル。リアシートの座面がフロントより50mmほど高く、周囲を見渡しやすい。
フェラーリ308 GTBより、ホイールベースは100mm長い。端正なスタイリングを描き出したのはピニンファリーナで、ディティールにはフェラーリらしい繊細さがある。
ボディサイドには、フィンが幾重にも並ぶエアインテークが開けられ、アルミホイールは星型の5スポーク。丁寧に仕立てられたボディが、他の3台とは次元の異なる技術水準にあることを静かに物語る。
ミドシップされるのは、フラットプレーン・クランクが組まれた3.0L V型8気筒エンジン。燃料供給はボッシュKジェトロニック・インジェクションが担い、デジプレックス・システムによって点火が制御されている。
1984年にアップデートを受け、エンジンは1気筒当たり4バルブ化。クアトロバルボーレを名乗り、最高出力は240psまで向上した。最終仕様では304psまで増強されたが、ディーノ308 GT4をパワーウエイトレシオで超えることはなかった。
スーパーカーとサルーンが融合した感覚
モンディアル・クアトロバルボーレの車重は1430kgと、当時としては重量級。そのかわり、従来以上に洗練性や信頼性は高められ、それまでのスーパーカーとは一線を画す。
価格は入門モデルに相当し、適度なサイズ感と現実的な速さを兼ね備え、多くのユーザーに訴求できるフェラーリだった。ブランドの間口を広げたといってもいい。
「優れたパフォーマンスと、不満ないラグジュアリーさが融合しているのが好きです。イタリアン・エンジニアリングに夢中なんですよ」。と説明するのは、現オーナーのルイ・シャバス氏。マセラティの大ファンでもある。
このモンディアルは1984年式。ボディとインテリアはレストア済みで、その際に防音材を追加したそうだ。
ドライバーズシートは路面へ近い位置へ据えられ、快適で現代的。上質なキャビンは明るく開放的。ファーストクラスの空港ラウンジに慣れた家族でも、インテリアに違和感は覚えないだろう。
発進させると、後方からV型8気筒エンジンのエキゾチックなサウンドが放たれる。スーパーカーとサルーンが一体になったような、不思議な感覚が湧いてくる。ステアリングホイールは低速域でも軽いものの、反応は少しおっとりしている。
若干慣れが必要なドライビングポジションは、フェラーリ・ライク。アクセルペダルを踏み込んだ時の、クレッシェンドとともに生まれる高揚感も期待通りだ。
この続きは後編にて。
画像 1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 現代版モデルも 全146枚