1度は乗りたい2+2 ポルシェ911 ルノー・アルピーヌ フェラーリ・モンディアル ロータス・エクセル 4台比較 後編

公開 : 2023.08.20 08:07

完璧ではないバランスの動的特性も個性

走行中は、熱せられたプラスティック部品が特有の匂いを放つ。インテリアのデザインは、どこか説得力に欠ける。それでも、エクセルには得もいわれぬ魅力が漂う。

「エクセル・セレブレーションの印象は、最後のフロントエンジン・ロータスに相応しい。最高なエスプリを持ってきても、気が移るようなことはないでしょう」。と、現オーナーのロブ・メプステッド氏が笑顔で話す。

ルノー・アルピーヌ GTA V6ターボ(1984〜1991年/英国仕様)
ルノーアルピーヌ GTA V6ターボ(1984〜1991年/英国仕様)

しなやかなドライビング体験は、流麗なスタイリングと調和している。現在の英国では、コストパフォーマンスも秀抜。気持ち良いエンジンに洗練された内装で、長距離にも問題なく使えるクラシック・ロータスだ。

新車時は充分な人気を得られなかったが、エスプリへ共感する層にとっては、従来以上に惹かれる存在になっているのではないだろうか。同じくらい走りが軽快で、優れたマナーとインテリアを備えた同時期のモデルが存在するとしても。
 
ルノー・アルピーヌ GTA V6ターボは、少々上品すぎるかもしれない。スーパーカーを上級役員にも親しみやすいクルマへしようという、ルノーの意志を感じる。

大胆な見た目やTURBOのグラフィックとは裏腹に、2.5L V6ターボエンジンの特徴は控えめ。高回転域まで引っ張ればパワーが高まり、過給されるサウンドも好ましいが、1番の得意分野は大陸横断のような高速での長距離クルージングだ。

とはいえ、クラシカルなリアエンジン・スポーツカーとして、バランスが完璧ではない動的特性も現在では個性の1つ。宇宙船のようなスタイリングは、新鮮にすら映る。

最もドライバーを満たすモンディアル

この4台で最も高性能なのは、ポルシェ911 カレラ3.2だろう。クラシック・ポルシェの人気が高止まりしている現在は、他の3台より多くの羨望を集めるモデルでもあるはず。

リアシートへ大人を座らせることは、現実的に難しいかもしれない。だが、Gシリーズの911には、多少の不便を受け入れたいと思わせる恒久的な魅力がある。

手前からブルーのフェラーリ・モンディアル・クアトロバルボーレと、レッドのポルシェ911 カレラ3.2、ダークグリーンのロータス・エクセル SE、ブルーのルノー・アルピーヌ GTA V6ターボ
手前からブルーのフェラーリ・モンディアル・クアトロバルボーレと、レッドのポルシェ911 カレラ3.2、ダークグリーンのロータス・エクセル SE、ブルーのルノー・アルピーヌ GTA V6ターボ

それ以上に、1980年代の2+2スポーツとして最もドライバーを満たすのは、フェラーリ・モンディアルだと思う。期待を超えるドラマチックさと、実用性を兼ね備えている。ディティールまで、しっかりイタリアン・エキゾチックしているのがうれしい。

協力:ウィルトシャー・ウィックボトム・バーン、ロータスビッツ、ジョン・ロー・エンジニアリング

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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