マニアしか知らない無名なフォード車 26選 ブルーオーバルが生んだ奇妙なクルマたち

公開 : 2023.08.12 18:05

フォード・センチュリオン・クラシック

北米の自動車産業に少しでも興味があれば、1990年代初頭にフォードの大型4ドアSUVを買うことができたと聞いても、特に違和感なく信じてしまうかもしれない。だが、20世紀に製造されたブロンコはすべて2ドアで、4ドアに相当するものは存在しなかったのだ。

ミシガン州ホワイトピジョンのセンチュリオン・ビークル社は、そこにチャンスがあると判断し、4ドアSUVを作った。こうして誕生したセンチュリオン・クラシックは、Fシリーズのクルーキャブ・シャシーをベースにしているが、ルーフとバックエンドはブロンコから流用されている。初代フォード・エクスペディションが登場するまで、9年間生産された。

フォード・センチュリオン・クラシック
フォード・センチュリオン・クラシック

フォード・コメット

SAFとして知られるフォードのフランス法人は、第二次世界大戦後、独自設計のモデルを複数生産した。その中で最もスタイリッシュなのは1951年のコメットで、フラットヘッドV8エンジンを搭載したヴェデットの親戚にあたるが、スポーティなボディは後にファセル・ヴェガを製造することになる高級車メーカー、ファセルが手がけたものだった。

コメットの問題は、その購入価格と税金の高さにあった。結果的に販売台数は低迷し、SAFは1954年にシムカに売却されることになる。コメットは、シムカのバッジを付けて販売されたが、1年で生産中止となった。

フォード・コメット
フォード・コメット

フォード・コンサル・クラシック

英国フォードの主流車種でありながら、コンサル・クラシックは非常に奇妙な見た目で、しかも短期間しか生産されなかったため、通りすがりの歩行者が万が一偶然見かけたら「あれは何だ」と叫ぶかもしれない。

コンサル・クラシックは1961年に発売され、贅沢なデザインが与えられたものの、わずか2年しかもたなかった。クーペ版(初めてカプリの名が与えられたモデル)も、その後わずか1年で廃止。それに比べると、1960年代にやや遅れて登場したコルセアとコルティナは見た目がオーソドックスだったためか、はるかに長命だった。

フォード・コンサル・クラシック
フォード・コンサル・クラシック

フォード・デル・リオ

デル・リオは6人乗りの大型ステーションワゴンだが、乗降用のドアは2枚しかない。豪奢な名前とは裏腹に、基本的には低価格のランチ・ワゴンをより派手にして装備を充実させたものだった。

販売台数は限定的で、わずか2回目のモデルイヤーである1958年以降を最後に生産中止に至った。フォードの中では存在感が薄いものの、後述するパークレーンというモデルよりは長く生き残った。

フォード・デル・リオ
フォード・デル・リオ

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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