アイデアは間違いなく魅力的 ロータス・エミーラ I4へ試乗 AMG 4気筒ターボとの調和 前編

公開 : 2023.08.13 08:25

伝統銘柄のスポーツカーが、ドイツ生まれの強心臓を獲得。同社最後になるであろうエンジンモデルを、英国編集部が評価しました。

メルセデスAMG由来の2.0L直列4気筒ターボ

ロータスを創業したコーリン・チャップマン氏は、軽さに夢中だった。パネルを固定するリベットの本数ですら、技術者と意見をぶつけたという。対するドイツのメルセデスAMGは、パワフルなエンジンを搭載したスーパーサルーンが得意分野だ。

両社の哲学は、決して近いとはいえない。しかし、ジーリー・ホールディング・グループの手回しによって接近し、優れたミドシップ・スポーツが誕生するに至った。

ロータス・エミーラ l4 ファーストエディション(英国仕様)
ロータス・エミーラ l4 ファーストエディション(英国仕様)

直近、10年ほどの動きを振り返ってみると、中国のジーリー・ホールディングは2010年にフォードからボルボを買収。マレーシアの自動車メーカー、プロトンの大株主になり、傘下にあったロータスも手中に収めた。2018年からはダイムラーの筆頭株主でもある。

こうして、現在のロータスはバッテリーEVメーカーへ生まれ変わろうとしている。その第一歩となる電動SUVのエレトレは、中国の武漢に構えた工場で生産される。

他方、内燃エンジンをミドシップするエミーラは、グレートブリテン島の南東、へセルの工場で生産される。当初はトヨタ由来の3.5L V型6気筒のみだったが、新たにメルセデスAMG由来の2.0L直列4気筒ターボも搭載されるようになった。

見惚れてしまうほど素晴らしいスタイリング

ジーリー・ホールディングがダイムラーの株式を10%近く買い入れた理由は、ドイツの電動モビリティ計画へ強い関心を抱いたためだった。ちょうどその頃、メルセデス・ベンツはM139型と呼ばれる2.0L 4気筒エンジンの開発へ取り組んでいた。

一般的な量産ユニットと同等に堅牢でありながら高出力で、従来のV8エンジンを置き換えることが目指されていた。その計画は、プラグイン・ハイブリッドというかたちで実施段階にある。

ロータス・エミーラ l4 ファーストエディション(英国仕様)
ロータス・エミーラ l4 ファーストエディション(英国仕様)

ロータスがエミーラのエントリー・ユニットを検討し始めた時、コンパクトでパワフルなM139型は有力な候補になった。ジーリー・ホールディングの後ろ盾で、ロータスの現CEO、マット・ウィンドル氏がシュツットガルトで取引をまとめた。

果たして、現在量産される直列4気筒エンジンで最強の1基を獲得したエミーラは、一見すると目立った変化はない。V6エンジン版では、リアガラス越しにスーパーチャージャーの膨らみが見えるものの、プラスチック製カバーで隠されている程度だ。

リアバンパーの下から伸びる、直径の太いマフラーカッターも同じ。フェラーリ488とランチア・ストラトスを掛け合わせたような、全体の雰囲気もそのまま。もっとも、これほど美しいスタイリングを得ていたら、あえて手を加える必要はないかもしれない。

ボディの側面はダイナミックにカーブを描き、思わず見惚れてしまう。素晴らしい容姿だと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アイデアは間違いなく魅力的 ロータス・エミーラ I4へ試乗 AMG 4気筒ターボとの調和の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事