独レースで大暴れ メルセデス・ベンツ190E コスワース 英国版中古車ガイド 維持費に報いる

公開 : 2023.08.21 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

2.3-16からのパワー向上が、2.5-16の短時間でのシフトアップに表れている。加速は鋭く、BMW M3やアウディ・クワトロといったライバルを凌駕するほど。滑らかに回転し、低速トルクは太くなり、4000rpm以上で素晴らしい性能を発揮する。

秀抜なシャシーバランスは、2.3からしっかり受け継いでいる。グリップ力は高く、漸進的なオーバーステアはコントロールが容易。乗り心地は充分に穏やかでありながら、姿勢制御も良好だ。(1989年1月4日)

メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボリューションII(1990年式/W201型/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボリューションII(1990年式/W201型/欧州仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

テリー・ロッコール氏

「コスワースの世界を知ったのは、190E 2.0を購入した時。その後、インターネットで偶然2.5-16を発見し、飛びついたんです。ブラックのボディにブラックのレザー内装で、僅かにローダウンされ、18インチのAMGアルミホイールを履いていました」

メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボリューションII(1990年式/W201型/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボリューションII(1990年式/W201型/欧州仕様)

「走行距離は22万5000kmと短くなく、見た目はくたびれていましたが、売り手の希望金額で即決。それ以来、コスワースの運転を心から楽しんでいます」

「購入後はストラットとブレーキディスク、キャリパー、パッド、点火プラグ、ディストリビューター・キャップ、ローターアーム、補機ベルト、バキュームホースを交換しています。これらのメンテナンスで、エンジンは調子を取り戻しました」

「リレーも交換済みです。リアデフのASDシステムの警告灯は、そのおかげで消えたようです。MTにトラブルを抱えていて、3速が入りにくい状態でしたが、1200ポンドかけてリビルドしました。滑らかになり、その価値はあったと思います」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

燃料ポンプからのガソリン漏れに注意したい。アイドリングは900~1000rpmが適正値。アイドリングが不安定なら、インジェクション・システム周囲のバキュームホースから、エア漏れしている可能性がある。

カムシャフト周辺から、小さなノッキング音が聞こえるのは珍しくない。始動時の振動が不自然に大きい場合は、タイミングチェーンの交換を考えたい。

メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボリューションII(1990年式/W201型/欧州仕様)
メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボリューションII(1990年式/W201型/欧州仕様)

好調なら、レッドラインまで滑らかに吹け上がる。定期的なメンテナンスと日々の状態観察を通じ、不具合を見つけたら早い段階で解決したい。

ステアリングとブレーキ

ステアリング系統は堅牢だが、パワーステアリング・ポンプの調子はチェックポイント。ブレーキフルードがラインから漏れることがある。ブレーキペダルが不自然に軽くないか、試乗で確かめたい。

シャシーとサスペンション

190Eのシャシーは堅牢ながら、サビには注意。事故歴がないか、修復が適正かも確かめたい。

ショックアブソーバーから液漏れする事がある。乗り心地が悪化し、姿勢制御が不安定になる。ボールジョイントの状態もチェックポイント。特にフロントサスペンションは弱点といえる。

インテリア

メーターパネルの状態は要確認。ドアの内張りは、上部で浮き上がってしまうことがある。フロントガラスのサンバイザーや、天井の内張りが不自然に湿っていないか確かめる。雨水が車内に侵入することがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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