暮らしに馴染める電動ハッチ ヴォグゾール(オペル)・アストラ・エレクトリックへ試乗 航続415km

公開 : 2023.08.20 08:25

アストラにバッテリーEV版が登場。リラックスした走りと充分な航続距離で、暮らしに馴染みやすいと英国編集部は評価します。

バッテリーEVのアストラは少々お高め

ヴォグゾールオペル)・アストラのバッテリーEV版、アストラ・エレクトリックがグレートブリテン島へやって来た。2023年5月に英国での価格は発表されていたが、ちょっとお高いな、というのが当初の正直な感想だった。

エントリーグレードは4万ポンド(約724万円)を切るものの、今回試乗した上級グレードのアルティメットは、4万3110ポンド(約780万円)。テスラモデル3も狙えるお値段となる。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)

ヴォグゾールもそれは理解していたようで、3年間金利0%の残価設定プランが用意されている。これを使えば、毎月263ポンド(約4万8000円)で乗れる。

ただし、頭金として1万2000ポンド(約217万円)が必要。3年後の残価は、1万8200ポンド(約329万円)と見積もられている。英国では一般的な、会社からの貸与車両として選ぶ場合、バッテリーEVは税制的に有利なため一定の支持は集めるはず。

このアストラ・エレクトリックは、内燃エンジンを搭載したアストラと、基本的に見た目は同じ。フォルクスワーゲン・ゴルフと同等サイズのファミリーハッチバックで、全長が4374mm、全幅は1860mm、全高は1470mmある。

駆動用バッテリーの容量は51kWhで、フロア部分に敷かれる。シャシーのねじり剛性は、内燃エンジン版より向上しているという。補機類が載る都合で、荷室の容量は若干小さくなるものの、350Lは残されている。

スタイリッシュなボディやインテリア

駆動用モーターはフロントに搭載され、前輪駆動。最高出力は155ps、最大トルクは27.4kg-mがうたわれ、0-100km/h加速には9.2秒を要する。バッテリーEVとしては、加速力は控えめといえるだろう。

近年のヴォグゾールは、プレミアムブランド以外の自動車メーカーのなかで、上位に属したいと考えている。ヒョンデマツダなども、最近は同様の意向を抱いているようだが、動力性能的にアストラ・エレクトリックは少々物足りないかもしれない。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ・エレクトリック・アルティメット(英国仕様)

それでも、スタイリングは内燃エンジン版と同じく洗練されている。中央部がつままれたように尖ったボンネットは、多少クセがあるかもしれない。1950年代のアメリカ車のように感じた。

インテリアのデザインも明快で、ライバルとは一線を画す。ダッシュボードは、スタイリングへ呼応するようにダイナミックに横方向へラインが引かれ、その上部に10.0インチモニターが2面並んだパネルが据えられる。

アストラがベースとするのは、プジョー308などと同じ、ステランティス・グループのプラットフォーム。基本的な人間工学も共通している。しかしインテリアでは、エアコンの操作パネルなどが独自デザインになっている。

内装の上面はソフトタッチ加工が施され、視覚的な印象も質感も高い。足もとは、硬質なプラスティックがそのままだけれど。

乗員空間にはゆとりがあり、シートサイズもゆったりしており、快適性ではクラス最高水準だろう。ドライビングポジションも自然で好ましい。ちなみに当面は、左ハンドルのみが販売される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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