大型バスからトライアンフまで ハリントン・マニア 英国コーチビルダーが産んだ7台 後編

公開 : 2023.08.27 17:45

トライアンフGTR4 ダヴ(1964年式)

オーナー:ゲイリー・スコット氏

ハリントン・アルパインとハリントン・ル・マンの生産は、1963年に384台目がラインオフしたところで終了する。しかし、1966年に廃業するまで小規模プロジェクトが複数進められた。

トライアンフGTR4 ダヴ(1964年式/英国仕様)
トライアンフGTR4 ダヴ(1964年式/英国仕様)

サンビーム・タイガーをベースにした、ハリントン・タイガー・クーペは1台、デイムラーSP250のクーペは3台が製造されている。また、トライアンフのカーディーラー、LFダヴ社と契約を結び、トライアンフTR4のハードトップボディも提供されている。

その頃、標準のTR4は968ポンドで購入できたが、クーペのトライアンフGTR4 ダヴには1250ポンドが付けられた。割高ではあったが50台から55台が生産され、一定の成果は残したといえる。

「以前は、トライアンフTR4を所有していました。特にハリントンの知識はなかったのですが、GTR4 ダヴならベビーカーを荷室に積み、子供をリアシートに載せてドライブできると考え購入したんです」

「クラッシュした状態で、標準のTR4なら手は出さなかったでしょう。でも、ハリントンが手掛けたボディや部品の状態は良かったんです。それが決め手でした」。と振り返るゲイリーは、1984年に購入。3年をかけてレストアを仕上げた。

この個体は、GTR4 ダヴとして製造された最後のクルマに当たる。つまり、ハリントン最後のクルマであることも意味する。

固定のルーフと2+2のシートだけでなく、オーバードライブと81L入るガソリンタンクが標準装備。エンジンもチューニングを受けているのが特徴だ。「車重は増えていますが、空力的に優れることも手伝い、最高速度は通常のTR4より大幅に高いんです」

ゲイリーがオーナーになってから、35年以上が経つ。過去にレストアした部品を、再びリフレッシュさせている途中だという。「過去に自分で締めたボルトを、今は順番に外しているところです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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