待望の新型登場 ホンダCR-V e:PHEVへ英国試乗 エンジンやダッシュボードはシビック譲り

公開 : 2023.08.16 08:25

ホンダの中型SUV、CR-Vが6代目へモデルチェンジ。新HVシステムを獲得した仕上がりを、英国編集部が評価しました。

e:HEVのシステムはシビックとほぼ同じ

近年のホンダには、モデルチェンジ・ラッシュが訪れている。ジャズ(フィット)にHR-V(ヴェゼル)、シビックが新世代へ生まれ変わった。日本ではステップワゴンも。更にまったく新しいZR-Vと、バッテリーEVのe:Ny1もリリースされた。

だがもう1台、重要なモデルが控えていた。中型SUV、CR-Vが6代目へ交代を果たした。初代の登場は1995年。トヨタRAV4と並ぶ、都会派オフローダーの先駆けといえるモデルは、間もなく誕生から30年を迎える。

ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)
ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)

新鮮なスタイリングをまとう新型CR-Vながら、パワートレインの内容には見覚えがあるという読者もいらっしゃるだろう。お手頃な方には、シビックやZR-Vが搭載するものとほぼ同じ、e:HEVと呼ばれるハイブリッドシステムを採用している。

欧州仕様の場合、2.0L直列4気筒ガソリンエンジンをフロントに搭載し、市街地などでは発電機として働く。そこで作られた電気を利用し、駆動用モーターがフロントタイヤを回転させる。だが、高負荷時にはクラッチがつながりエンジンの力も利用して走る。

ただし、CR-V独自の制御も加わっている。エンジン側に2速ATが組み合わされ、シビックのように高速域だけでなく、低速域でもエンジンが直接駆動力をタイヤへ伝えるようになっている。これは、トレーラーを牽引する場面などで有効といえる。

プロペラシャフトで結ばれた、四輪駆動も選べる。2023年10月には、プラグイン・ハイブリッド仕様も英国へ導入予定。今回試乗させていただいたのは、その後者のe:PHEVだった。

バッテリーだけで最長80km走れるe:PHEV

CR-V e:PHEVが搭載する駆動用バッテリーの容量は、17.7kWh。蓄電された電気だけで、最長80kmを走れると主張される。英国で一般的な、会社からの貸与車両として乗る場合は、現物給付税が有利になる。

駆動用バッテリーはフロア下に搭載され、荷室容量は従来的なe:HEVから72Lも広がり、635Lが確保される。冷却システムの違いにより、荷室のフロア下から移設されたという。

ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)
ホンダCR-V e:PHEV アドバンス・テック(英国仕様)

駆動用モーターはe:HEVと変わらず、最高出力は183ps。鋭い加速を得られるわけではないが、駆動用バッテリーが大容量なため、高い出力を長時間発揮できることが特徴だ。CR-V e:PHEVの最大牽引重量は、1500kgまでとなる。

ドライブモードには、牽引モードも実装。ナビデータを利用し、駆動用バッテリーの電力量を制御したり、内燃エンジンで効果的に充電することが可能だという。

インテリアを観察すると、新しいシビックとの血縁関係の濃さがわかる。ベーシックながら快適に使えるインフォテインメント・システムや、ダッシュボードのデザインは殆ど同じといっていいだろう。

製造品質が高く、レイアウトは扱いやすく、共用していたとしても印象を落とすものではない。それでも、キアヒョンデの同クラスのモデルと並べたら、特別な空間だとは感じにくいかもしれない。素材の質感で、劣るわけではないけれど。

リアシートは、リクライニングだけでなくスライドも可能。リアシートを折りたためば荷室を拡大できるが、フロアには段差が残る。7シーターは設定にない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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