【現実の環境でテスト】メルセデス・ベンツEQS 450 4マティックSUV 一般道/高速道路で検証

公開 : 2023.08.15 12:50

現実に即した環境でメルセデス・ベンツEQS 450 4マティックSUVに試乗。充電結果や電費、ドライブフィールなど、良かったこと、気になったことを紹介。

遂にSクラスのSUVでEVが登場

既に我々は、メルセデス・ベンツのEVで最高グレードのEQSに試乗し、そのコンセプトと出来栄えの素晴らしさに感動したところだ。

現代の潮流からすれば、EQの次は、SUV仕様が遠からず登場するであろうことが予想されたが、そのSUVは、この5月にEQS 450 4マティックSUV/580 4マティックSUVスポーツとして2グレードが発表された。

メルセデス・ベンツEQS 450 4マティックSUV
メルセデス・ベンツEQS 450 4マティックSUV    戎大介

編集部では早速、2種類のうち、450 4マティックSUVを借り出し、約1週間に渡って試乗を行ってみた。

450 4マティックSUVの外観は極めて先進的なEQSと異なり、比較的オーソドックスなデザインに見える。

しかし、よく観察すると、フロントグリルからヘッドライト、そして、ボンネットへのスムーズな面構成はEQSと同様の処理であり、7人の居住性を確保するため、最大限ホイールベースを拡大できたのも、EVならではの特徴と言える。

ボディサイズは5135mm(全長)×2035mm(全幅)×1725mm(全高)で、セダンのEQSに比べて、全長が僅かに短く、逆に全幅は110mm広い。実は、全幅の110mmの拡大は心理的に大きく影響し、かなり気を遣うドライビングとなった。ホイールベースはセダンと同様の3210mmである。

パワートレインは、前後2基のモーターによる4輪駆動で、360ps(265kW)の最大出力、800N・mの最大トルクを発生する。床下に格納されたリチウムイオン・バッテリーは107.8kWhの大容量で、1充電当たりの走行距離は593kmと公表されている。この数値が実際の使用でどう変動するかも興味があった。

現実にクルマを目の前にすると

さて、現実にクルマを目の前にすると、やはり、その大きさには圧倒される。特に国内の一般道では車線がそれほど広くないので、2m以上の車幅の感覚に慣れるまでは相当なストレスとなる。

SUVの場合は車高が高く、従って乗り降りも大変だが、このEQSの場合、固定式のステップが装着されていて便利だ、と思ったが、実はこれが曲者で、ステップの幅が充分でないので足が半分しか乗らず、注意しないと滑ったりして、かなり危険に思えた。収納式にしてしっかりと幅を確保していれば便利だが、中途半端で、むしろ無い方が良いと思えた。固定式では雪なども積もってしまうだろうし、突起物として擦りそうなのもいただけない。これを設計した人はどのような昇降を想定していたのか聞いてみたいところである。

ダッシュボードは巨大なスクリーンとなっていてナビも見やすく、ここで殆どの操作は終了する。
ダッシュボードは巨大なスクリーンとなっていてナビも見やすく、ここで殆どの操作は終了する。    戎大介

気を取り直してドライバーズシートに着座する。ダッシュボードは巨大なスクリーンとなっていてナビも見やすく、ここで殆どの操作は終了する。

かなり太めのステアリングは、切り初めがやや操舵力が必要だがその後はスムーズで、4輪操舵も加わって小気味よい走りが可能だ。総重量は2.9tとヘビー級だが、2基のモーターによるパワーは素晴らしく、一気に加速する。

このEQS SUVではモーターの回転と共に、エンジン音に似たサウンドを奏でるのに驚いた。これまでに聞いた人工のサウンドの中で最も耳に心地よいと思う。

サスペンションは、フロントが4リンク、リアがマルチリンク式で、連続可変ダンピングとエアサスを組み合わせたエアマティックにより、自動車高調整が可能である。コンフォート・モードでは、たっぷりとしたストロークでソフトに走るが、スポーツ・モードをセレクトすると激変し、引き締まった走りのサスに変貌するのが面白い。峠道では、それまでが嘘のように、メリハリの付いた走行が可能であった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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