アイデアは良いのに消えたクルマ 21選 名案でも「不要」と判断された黒歴史
公開 : 2023.08.20 18:05
BMW V16エンジン(1987年)
BMWは1987年に6.7L V16エンジンの開発に着手した。7シリーズの上位に位置するフラッグシップセダンの動力源として期待されたもので、「9シリーズ」のような新しい独立モデルか、あるいは7シリーズの高性能版としても登場する可能性があった。開発作業は比較的速いペースで進められ、E32世代の7シリーズでテストしたところ、最高出力約415ps、最大トルク約63.5kg-mを発生している。
ただし、この大きなエンジンを搭載するためにはラジエーターをトランクに移設し、クォーターパネルにエアスクープを追加する必要がある。そのため、プロトタイプ(写真、日本名:bB)には「ゴールドフィッシュ(金魚)」というニックネームが付けられた。
結局、750iに搭載されているV12エンジンで十分と判断したBMWは、V16の開発を中止してしまった。それ以来、販売される7シリーズはすべてV12を搭載しており、BMWはこれまで16気筒エンジンを量産したことがなく、電動モデルへの移行によって今後も作られることはないだろう。12気筒でさえ、2022年に生産終了してしまったのだ。
米国の自動シートベルト(1980年代と1990年代)
奇妙なことに、自動シートベルト技術は自動車にエアバッグを搭載することを回避する方法として誕生した。米国の規制当局は、1990年モデルまでにすべての新車に運転席側エアバッグか自動シートベルトを装備することを義務付けたのだが、エアバッグよりもシートベルトの方がはるかに安価であった。1995年に運転席エアバッグが義務化された後、自動シートベルトは米国市場から姿を消した。
ハマー(1999年から2010年まで)
AMゼネラルは1992年に民生版ハンヴィーを発売したが、ハマーが独立したブランドになったのは1999年、ゼネラルモーターズがその権利を購入してからである。すぐにH2とH3と名付けられた小型モデルをラインナップに加えたが、イメージの悪化と同社の倒産により、ハマーブランドは解体されることになった。ゼネラルモーターズは、設立から約10年後の2010年にハマーを閉鎖したが、GMCブランドから2021年に同名のEVを発売している。
シボレーのミッドゲート(2001年)
2002年モデルのシボレー・アバランチに導入された「ミッドゲート」は、理論上では素晴らしい装備であった。ピックアップトラックのキャビンと荷台の間の仕切りを折りたたむことができ、柔軟かつ広大なスペースを作ることができる。アバランチのキャデラック版であるエスカレードEXTにも搭載され、また短命に終わったGMCエンボイXUVにも採用された。
多くの米国人は、ライバルであるフォードとダッジが独自のミッドゲートを導入するか、2013年のアバランチ生産終了後もシルバラードに搭載されるだろうと考えていたが、結局はお蔵入りになってしまった。高価な割りに、需要は予想よりも低かったのだろう。
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