リンカーンのピックアップトラック(2001年)

リンカーンの論理は正しかった。ブランド初のSUVであるナビゲーターが気に入られたのであれば、ピックアップトラックにも夢中になるに違いない。フォードF-150をベースに、リンカーンはナビゲーターに似たフロントエンドとフェイク・ウッドパネルを装着し、ブラックウッド(写真)という名で発売した。

後輪駆動とカーペット敷きの荷室しか設定がなかったため、使い勝手は限られ、結果的に販売台数も少数にとどまった。米国では2002年モデルのみ。メキシコでは温かく迎えられたため、2003年モデルまで続いた。

リンカーンのピックアップトラック(2001年)
リンカーンのピックアップトラック(2001年)

それでもリンカーンは諦めなかった。2005年モデルにはマークLTを発表し、ピックアップトラック市場に果敢に復帰した。マークLTはF-150のリバッジモデルであったが、ブラックウッドよりも実用的だった。メキシコ市場には第2世代モデルが投入されたが、2008年に販売終了し、リンカーンはトラックの販売をやめた。キャデラックも2013年モデルを最後に同じ結論に達している。

ドット状のLEDライト(2000年代)

2000年代、LEDライトの採用ブームは瞬く間に自動車業界に広がった。アウディレクサスのような高級車ブランドが挑戦し、フォルクスワーゲン日産のような主流ブランドも参入して大衆にLEDを広めた。はじめは、個別の電球が連なるデザインのものが一般的で、写真は第2世代の日産キャシュカイである。

この小さなドットは、少なくともしばらくの間は、クルマにモダンで高級な印象を与えた。しかし、LED技術は急速に進化し、2010年代後半には連続的なラインが主流となったことから、粒々感のあるLEDドットはむしろ古くさく見えるようになってしまった。

ドット状のLEDライト(2000年代)
ドット状のLEDライト(2000年代)

欧州のMPV(2000年代)

2000年代の欧州市場では、多目的車(MPV)が大流行した。ミニバンより小さく、標準的なハッチバックより背の高いフィアット・イデア(2003年、写真)、オペル・メリーバ(2003年)、ルノー・モデュス(2004年)などは、通勤にも休暇にも理想的なクルマとして売り出された。その栄光は儚く、ほとんどがクロスオーバーに取って代わられた。

2020年代に入ると、両側スライドドアを特徴とするフォードBマックスが欧州におけるMPVの最後の砦となった。広い室内空間を武器とする箱型のミニバンは、昨今のアウトドアブームを考慮するとまだ勝算があるかもしれないが、比較的小柄なMPVの将来性は不透明だ。

欧州のMPV(2000年代)
欧州のMPV(2000年代)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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