マセラティ・グレカーレの謎 なぜか乗ったそばから“馴染める”SUV 「モデナ」「トロフェオ」で探る

公開 : 2023.08.17 21:32

マセラティ「グレカーレ」は初めて乗っても、大きすぎると感じません。新グレードの「モデナ」「トロフェオ」を題材に、そのワケを探りましょう。

次の時代へ 布陣が見えてきた

2030年に販売の全量をBEV化することを目標とするマセラティ

新たなロードマップの皮切りであり旗印として登場したスーパースポーツのMC20は、プレチャンバーを採用した独創的な自社製V6ユニット「ネットゥーノ」を積む一方で、将来的にはBEVをラインナップすることも明言されている。

グレカーレ・トロフェオ(ビアンコ・アストロ)
グレカーレ・トロフェオ(ビアンコ・アストロ)    宮澤佳久

マセラティのBEV化の先陣を切るのは、先にフルモデルチェンジしたラグジュアリークーペのグラントゥーリズモだ。

件のネットゥーノに加えて、フロアトンネルのスペースも用いながらバッテリーをT字にレイアウトしたBEVグレードの「フォルゴーレ」を既に発表している。

日本の導入は来年以降ということになりそうだが、聴かせてナンボとも思われていたマセラティのブランドイメージは、フォルゴーレの登場で異なる一面を示すことになるだろう。ちなみにフォルゴーレはイタリア語で“稲妻”の意味だ。

そんなマセラティの中で最もオールマイティな存在として、或いはブランドエントリーの役割として、新たに登場したのが「グレカーレ」ということになる。

彼らとしては、もう幾年か後にフルモデルチェンジを迎えるだろうレヴァンテとグレカーレでSUVの2台体制を築き、MC20とグラントゥーリズモで2ドアクーペの2台体制を、そしてクアトロポルテギブリを統合するかたちで4ドアサルーンを新たに設定し、5モデルの布陣で2030年に向かっていこうという目論見だ。

3つのグレカーレ その違いは?

グレカーレの日本デリバリーが始まったのは今年に入ってからのこと。

当初はベースグレードに相当するGTが展開されていたが、遅れてその上位グレードたる「モデナ」と「トロフェオ」のデリバリーが始まり、一応のラインナップ完成となった。

グレカーレ・モデナ(内装色:ネロ/グリジオ)
グレカーレ・モデナ(内装色:ネロ/グリジオ)    宮澤佳久

ちなみに4月の上海モーターショーでは105kWhのバッテリーを搭載するBEVグレード、フォルゴーレがワールドプレミアとなったが、日本導入は来年以降が見込まれるという。

新たに導入された2つのグレードのうち、「モデナ」はGTに対して装備とパフォーマンスの両面を充実させたグレードと考えればいいだろう。

搭載するパワートレインは2L 4気筒直噴ターボに48Vのベルト駆動スタータージェネレーター=BSGを組み合わせたマイルドハイブリッドと同じだが、エンジン側のパワーを30ps高めて330psとしている。

最高速は240km/hと変わらないが、0-100km/h加速は5.3秒と、GTに対して0.3秒速い。

この駆動力強化にあわせて、タイヤはGTの標準より1インチ大きい20インチが標準、電子制御可変ダンパーも備わるほか、後軸側にはLSDを組み込んでいる。他の機能装備面ではADASのフルスペック化が大きな差となるだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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