アバルト500e 詳細データテスト ほどよい速さと優れた経済性 足回りは硬すぎる 価格は高すぎる

公開 : 2023.08.19 20:25  更新 : 2023.10.24 18:39

快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆

硬いサスペンションは、日常使いでの快適性に問題を引き起こす。高速道路でも市街地でも、落ち着いた乗り心地は決して得られない。バンプはことごとく身体に感じ、ワインディングを飛ばすなら楽しいだろうが、それ以外のシーンにはそぐわない。

この容赦ない硬さは、テスター陣からもやりすぎだという声が上がったが、いっぽうで明らかにスポーティさが売りのAセグメントとしては許容範囲じゃないかとの意見もあった。

アバルトの性格を考えれば、乗り心地に文句を言うのは詮ないことだ。しかし、ドライビングポジションの不自由さは、どうにか改善してもらいたい。
アバルトの性格を考えれば、乗り心地に文句を言うのは詮ないことだ。しかし、ドライビングポジションの不自由さは、どうにか改善してもらいたい。    SIMON THOMPSON

少なくとも減衰は十分に上質で、粗いものではないので、許せると言えば許せる。40タイヤを履いていても、セカンダリーライドはかなりいい。

はっきりしているのは、シティカーがベースであっても、500eは決して快適性を前提においていないこと、また、ほかにも多少の不満があることだ。まず、より上位のクルマのような静粛性がないので、高速道路での長距離移動は疲れる。

また、すでに述べたように、ドライビングポジションが理想とはほど遠い。背の高いドライバーの場合はとくにそうだ。しかし、事態を悪化させているのは、右ハンドル化の弊害がひどいこと。フットレストはセンターの張り出しに干渉され、フットウェルそのものも狭い。

そこにきてシートが高いので、イタリア車らしい腕を伸ばして脚を窮屈に押し込むポジションを強いられる。それを避けるためにはシートバックを立て気味にせざるを得ないが、それがまた長距離乗るには身体に辛いのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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