アバルト500e 詳細データテスト ほどよい速さと優れた経済性 足回りは硬すぎる 価格は高すぎる

公開 : 2023.08.19 20:25  更新 : 2023.10.24 18:39

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

3万4195ポンド(約629万円)からという500eの価格は、航続距離の短い小型車としては高額だ。ツーリズモ仕様は4000ポンド高の3万8195ポンド(約703万円)で、コンバーティブルはそれぞれ3000ポンド(約55万円)高となる。航続距離385kmのMG4 Xパワーが3万6495ポンド(約672万円)であることを考えると、アバルトの価格を素直に受け入れるのは難しい。

残価予想も芳しくない。せめてもの救いは、コンバーティブルが設定されていること。これなら値落ち幅は多少小さいはずだ。月々の支払いも、17ポンド(約3100円)程度の上乗せで済む。

500eの残価予想はなかなか厳しく、4年後の残存価値は33%。コンバーティブルなら、事態はやや好転するはずだ。
500eの残価予想はなかなか厳しく、4年後の残存価値は33%。コンバーティブルなら、事態はやや好転するはずだ。

もしもパワーソースを問わず経済的なクルマがほしいなら、小さくて、比較的軽くて、パワフルすぎないものを選べばいい。500eならその3つの条件を満たす。公称電費は5.5km/kWhと控えめだが、動力計測を含む1週間のテスト時の平均値はそれを上回る6.1km/kWhを記録。現実的な航続距離は229kmほどとなる計算だ。

穏やかに走れば、6.4km/kWh以上も見込めるので、WLTP値の254kmも無理な数字ではない。コンパクトなクルマで、テスト時より気候に恵まれれば、もっといい数字が出たかもしれないが、今のままでもこれまでテストしたEVの中ではもっとも高効率だ。

フィアット版と同じく、500eの充電性能は最大85kWで、このサイズのクルマならなかなかいい。最終的には、100kW対応のシトロエンe−C4Xより高い平均充電量となったが、これは充電量が40%に達するまで80kW、60%充電まで67kWを維持したからだ。悪くない結果だ。現実的な3ピンプラグでの充電も可能だが、200ポンド(約3.7万円)のオプションだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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