ホンダ・ヴェゼル・ハイブリッドX(FF)&ハイブリッドZ
公開 : 2014.01.26 19:26 更新 : 2017.05.29 19:09
コンパクトクラスからミドルクラスのSUV/クロスオーバーマーケットが全世界的に活況を呈している。BMW X1やアウディQ3の成功を横目で見ていたメルセデスは、ついにAクラス・ベースのGLAを市場投入し、今年半ばには日本でも発売を開始する予定。フォードは、ブラジルで開発したエコスポーツをグローバルモデルに格上げし、日本導入をすでに予告している。この状況は国内メーカーも同様で、これまで日産デュアリス/ジュークのペアが市場を牽引してきたところに、マツダ、三菱、スバルが相次いでニューモデルを投入。遅まきながらホンダもブランニューモデル「VEZEL(ヴェゼル)」で、このセグメントに殴り込みをかけた。
ラインナップは比較的シンプルで、パワーユニットはハイブリッド車とガソリン車との2タイプ。前車はホンダが“スポーツハイブリッドi-DCD”と呼ぶ132psを発生する1.5ℓ直噴ガソリンエンジンと、29.5psのモーターに7段DCTをセットしたパワートレーンで、さらにホンダでは初となるリアルタイム4WDを組み込んでいる。ガソリンエンジンはハイブリッドのエンジンと同じプロフィールを持つ1.5ℓ直列4気筒ユニット。こちらは最高出力が131psとなり、CVTを組み合わせている。
ユーザーニーズの中心はやはりハイブリッドで、1月12日現在の受注状況では、実に86.3%がハイブリッドモデル。現在は発売1カ月足らずで、月間販売目標台数の4000台を遙かに超える2万4900台を受注。納車はゴールデンウィーク明けにまでずれ込むかもしれないという。
TVCFではなかなかサイズ感がつかめないが、実際は日産デュアリスとほぼ同サイズ。全長4295×全幅1770×全高1605mm、ホイールベースは2610mmと十分コンパクトといえるディメンションである。ただし、室内は広い。身長約170cmのドライバーが適正なドラポジを取ったすぐ後ろの席は、足が組めるほど前席との間隔が空く。ヘッドルームも十分で、スマートな今どき風のルックスから想像するよりも居住空間や荷室容量は十分に確保され、かなりの実用性を備えていると評価可能だ。
そのエクステリアは、フィットに始まったフロントグリルに“ソリッドウイングフェイス”を置くホンダの新世代デザインを採用。2013年のNAIAS(デトロイト・ショー)で初公開された“アーバンSUVコンセプト”が実はヴェゼルの予告編であり、大きくキックアップするサイドのキャラクターラインや、リヤドアのハンドルをCピラーに隠しクーペライクなデザインに見せる技を含め、シルエットはそのまま量産車にも受け継がれている。都会的でスタイリッシュなフォルムから、北米で展開する上級ブランド、アキュラでの販売も……と思ったのだが、聞けばヴェゼルはホンダ・ブランドのグローバルモデル第1号で、特に欧州市場での販売強化を視野に入れているのだという。ひとクラス上のCR-Vは北米と中国でこそ好調だが、大きくなりすぎた現行モデルは、日本やアジア、欧州での反応がイマイチだった。そこにスッポリはまるサイズとデザインを持ったSUVスペシャリティが、ヴェゼルの目指すところである。