驚愕体験を平然と生む ピニンファリーナ・バッティスタへ試乗 1903psで357km/h以上 前編

公開 : 2023.08.27 08:25

驚愕の実体験を平然と提供することへ感動

リア側がぐっと沈み、突如フロントアクスルが全力で仕事をしだす。このモードでは、前後アクスルで発揮されるトルク割合は40:60だという。

ジャイロスコープが状況を判断し終えるまで、極めて僅かな「タメ」がある。そう感じた次の瞬間、ワープのような突進が始まった。ハリウッド映画の中にいるようだ。周囲の景色が霞んで見える。これほどの加速を体験したのは初めて。

ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)
ピニンファリーナ・バッティスタ(欧州仕様)

2秒くらい我慢して、右足の力を緩める。何km/h出ていたのか、気にする余裕はない。ひたすら前を見るしかなかった。助手席のロリスが笑っている。驚愕の体験を、バッティスタは平然と提供することへ感動を覚えた。

既に納車は始まっているという。実際に、桁外れの実力を発揮させたことのあるオーナーは、どの程度いるのだろう。もし読者がそのお1人なら、安全な環境で試されてみてはいかがだろう。

2022年末、AUTOCARの恒例企画といえる英国ベスト・ドライバーズカー選手権のため、フェラーリはグレートブリテン島西部のアングルシー・サーキットへ296 GTBを届けてくれた。このハイブリッド・スーパーカーも、筆者の概念を改めるほど凄かった。

最高出力は830psで、皮むきの終わったミシュラン・カップ2Rタイヤを履き、特別に手配されたガソリンが給油されていた。下りコーナーからの直線で、かつてないほどの驚きを残してみせた。

トリノ郊外の一般道を走るバッティスタは、真新しいミシュラン・カップ2を履いている。それでも、速度上昇の鋭さは296 GTB以上。条件を考えれば、感嘆するしかない。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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