シンプル・イズ・ベストを体現する名車 20選 質素で安くて魅力いっぱいのクルマ

公開 : 2023.08.27 18:05

メッサーシュミット・カビネンローラー(1953年)

KR175(写真)とKR200は、2人掛けのタンデムシート、プレキシガラス製のルーフ、3本の車輪を備えている。動力源は2サイクル単気筒空冷エンジン。一部のモデルでは、ステアリング・バーに取り付けられたツイスト・グリップを使って加速する。1964年に生産終了。メッサーシュミットは航空宇宙分野に戻り、消費者はもう少し大きな小型車に目を向けるようになった。

メッサーシュミット・カビネンローラー(1953年)
メッサーシュミット・カビネンローラー(1953年)

BMWイセッタ(1955年)

イセッタはイタリアのイソ社によって開発され、後にBMWがライセンスを得たバブルカーである。BMWは2020年にイセッタの改良版を生み出した。フロントヒンジドアなどの基本デザインはそのままに、オートバイから流用した最高出力12psの単気筒4ストローク・エンジンを搭載。また、ライトをフロントマスクのさらに上部に移動させるなど、いくつかの外観上の変更も加えられた。

他のバブルカーと同様、イセッタもオートバイと自動車の境界線を曖昧にしてきた乗り物だ。英国で製造・販売されたイセッタの中には、税金を安くするために3輪にしたものさえあった。

BMWイセッタ(1955年)
BMWイセッタ(1955年)

フィアット500(1957年)

フィアットは、モペット(原付)とファミリーカーのギャップを埋めるべく、リアエンジンの500を開発した。開発過程では重量とコストが非常に大きな課題となり、前輪駆動にすることは不可能だったため、エンジニアのダンテ・ジャコーザ(1905-1996)はドライブトレインをキャビンの後ろに置き、ドライブシャフトなどの部品を省くことで車体を小型化(結果として軽量化)した。初期型では13psを発生する空冷2気筒エンジンを選択し、製造コストを極限まで削減することを追求した結果、プルタイプのスターターを採用した。

500の生産は1975年に終了。その後継となった126も同様にシンプルで、ポーランドでは2000年まで生産された。写真:500R。

フィアット500(1957年)
フィアット500(1957年)

オースチン・セブン/モーリス・ミニ・マイナー(1959年)

初代ミニについては、すでに語り尽くされているだろう。アレック・イシゴニス卿(1906-1988)によって生み出されたミニは、英国内外で一般的になりつつあったバブルカーに代わる乗り物だった。イシゴニスは、ミニの魅力の大部分はそのコンパクトなサイズにあることを理解していたため、4気筒エンジンを4速マニュアル・トランスミッションの上に直接置くことで、可能な限り小型化を目指した。さらに、オイルを共通化することでレイアウトをシンプルにしている。

ダッシュボードの真ん中にスピードメーターを配置したのもそのためだ。これにより、右ハンドルと左ハンドルで異なるダッシュボードを製造する必要がなくなった。ミニの生産は2000年に終了した。

オースチン・セブン/モーリス・ミニ・マイナー(1959年)
オースチン・セブン/モーリス・ミニ・マイナー(1959年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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