富裕層限定アプリ 巨大ビジネスの「促進役」に? ロールス・ロイス所有者の出会いの場

公開 : 2023.08.23 18:45

ロールス・ロイスのオーナー限定アプリ『Whispers』は、富裕層のためのプライベートなチャットルームになっているとのこと。経済を変えるようなビジネス取引のきっかけにもなっていると言われています。

オーナー限定アプリ 当初の目的を超えて進化

英国の高級車メーカー、ロールス・ロイスのトルステン・ミュラー・エトヴェシュCEOは、同社が展開するアプリベースのプライベート・メンバーズクラブ『Whispers』のメンバー同士がつながり、会話することで、経済さえも変えてしまうような大きな商談が成立していると語った。

2019年にサービスを開始したWhispersは当初、コンシェルジュのサポート、高級品の限定プレビュー、ショッピング、イベントなど、ラグジュアリーなライフスタイルを提案するものだった。最近では少しずつ内容が変化し、勢いを増している。

ロールス・ロイスは所有者向けにアプリベースのメンバーズクラブを提供している。
ロールス・ロイスは所有者向けにアプリベースのメンバーズクラブを提供している。    ロールス・ロイス

ラグジュアリーなライフスタイルの要素はそのままに、メンバー間の紹介、コミュニケーション、チャット機能が開発され、レジャーにもビジネスにも利用されているという。

Whispersのメンバーになるには、2003年以降に製造されたロールス・ロイスを所有している必要があり、2018年以降のモデルを所有している場合のみ、全機能を利用することができる。参考までに、ロールス・ロイスの新車の平均販売価格は50万ユーロ(約7860万円)である。

Whispersのメンバーは全世界で2万人に満たない。LinkedInのユーザー数は9億3000万人、Facebookは29億8000万人である。

ロールス・ロイスのWhispers担当マネージャー、アレクサンダー・シュタインブルック氏は次のように述べている。

「わたし達はファシリテーターです。Whispersは企業のコミュニケーション・チャンネルではありません」

「お客様はWhispers上で会い、一緒に休暇に出かけます。このグループがいかに同質的であるかを示しています。ビジネス面では、わたしはある金融業界のお客様と電話で話したことがあります。彼にとっては、志を同じくする人たちとのビジネス上のつながりを作る絶好の情報源なのです。彼は、これ以上のフィルターや人選はないと言っており、とても頻繁に利用しています」

ミュラー・エトヴェシュ氏によれば、超富裕層の顧客は互いの考え方や直面している問題や課題をよく知り、理解しているという。個人的なセキュリティ対策や専門アドバイザーに関するおしゃべりはよくあることで、例えば、休暇先について顧客同士で勧め合うこともある。

ミュラー・エトヴェシュ氏は、ロールス・ロイスと顧客は家族になりつつあると話す。

「(あるイベントに)20人の顧客を招待しました。彼らはそれまでお互いを知らなかったのですが、その週末を境に新しい友人となり、その後も連絡を取り合い、新たな関係を築いているのです」

その後、2人の顧客が互いに都合の良いトルコのイスタンブールで会い、ビジネスについて話し合ったとのこと。ロールス・ロイスの裁量により、それ以上の詳細は明かされなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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