シビック譲りの優等生 ホンダZR-Vへ英国試乗 乗り心地と操縦性は◎ 価格はお高め 前編

公開 : 2023.08.31 08:25

乗り心地や操縦性で有利なマルチリンク・サス

リアシート側の空間は、膝前も頭上も広々。センタートンネルの膨らみは小さく、中央の席でも足の置き場には困らなそうだ。USBポートとエアコンの送風口があり、フロントシート側と同等の素材が用いられ、快適に過ごせる。

荷室は、このクラスのクロスオーバーとしては狭め。ライバルの日産キャシュカイ(旧デュアリス)は504Lあり、ハッチバックのシビックでも410L確保されているのに対し、390Lしかない。

ホンダZR-V e:HEV アドバンス(英国仕様)
ホンダZR-V e:HEV アドバンス(英国仕様)

床面は、部分的に立ち上げることで仕切りを作れ、実用性には配慮されている。しかし、もっと効率良く空間を生み出せたのではないだろうか。ボーズ社のサウンドシステムが載る英国のアドバンス・グレードでは、380Lへ更に狭まる。

ホンダ・フィットやヴェゼルからクラスアップするユーザーの場合は、リアシートの座面が跳ね上がらないことに不便を感じるかもしれない。大きな観葉植物など、背の高い荷物は倒して積む必要がある。

その理由が、乗り心地や操縦性で有利となる、マルチリンク式サスペンションをリアに採用したこと。小さくまとまるトーションビーム式とは異なり、一般的なモデルと同様に、ガソリンタンクをリアシートの下へ配置する必要が出てくるためだ。

秀でた実用性と、乗り心地や操縦性を天秤にかけた時、どちらを選ぶかはユーザーによって異なるだろう。だがファミリー・クロスオーバーとして、前者を優先した方が多くの支持を集めるのではないかと筆者は考える。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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