スポーティさとパワフルさ ポルシェ・パナメーラ PHEVの試作車へ試乗 3代目へ一新

公開 : 2023.08.26 08:25

ポルシェの上級サルーンが3代目へモデルチェンジ。新エンジンとモーターを獲得したPHEV版へ、英国編集部が試乗しました。

シャープさを増したスタイリング

2020年にバッテリーEVのポルシェタイカンが登場したことで、似たシルエットを持つパナメーラの将来へ疑問を抱いたのは、筆者だけではないだろう。動力源が異なっても、兄弟のように見えるサルーンを擁することは不思議に思えた。

しかし、ポルシェは内燃エンジンのラグジュアリー・サルーンを今後も作り続けるという。少なくとも2030年までは、バッテリーEVへのシフトが進む英国でも、販売される見込みだという。

ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプ(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプ(欧州仕様)

そんなパナメーラが、3代目へモデルチェンジする。正式発表に先駆けて、同社取締役による走行テストを終えた最終プロトタイプへの試乗に、筆者はお招きいただいた。量産仕様は、9月からドイツ・ライプツィヒ工場で生産が始まる。

モデルラインナップの責任者、トーマス・フライマス氏へお話を伺う。「微調整は必要ですが、ここまでは順調に進んでいます。主要な開発は完了しました」

プロトタイプには軽い偽造が施されていたものの、スタイリングがシャープになったことは間違いない。グラスエリアが上下に薄く、テールエンドが滑らかなリフトバックの5ドアであることに変わりはないが、2代目より洗練度を増している。

ヘッドライトやフロントグリルの処理は新しく、ホイールも新デザイン。フォルムは伸びやかで、フロントフェンダーやボンネットの主張が増している。面構成はタイトになったようだ。

ホイールベースが伸び、リアドアは開口部が大きく取られ乗降性も改善。しっかり先代と差別化されている。

最新版のカイエンに近いインテリア

インテリアは大幅に刷新された。まだ写真はご覧いただけないが、メーターパネルはモニター式で、インフォテインメント用タッチモニターも新しい。ステアリングホイールには、ドライブモードを選べるスイッチが配されている。

全体的な印象としては、最新版のカイエンに近い。シフトセレクターは、ダッシュボード側へ移されている。インフォテインメント・システムは、ストリーミング・サービスにも対応するという。

ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプと、トーマス・フライマス氏(右)、筆者(左)
ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプと、トーマス・フライマス氏(右)、筆者(左)

乗員空間はゆとりが増した。主にリアシート側の前後長と、荷室容量が拡大したそうだ。

「プラットフォームやボディ構造、ドライブトレイン、サスペンションやソフトウエアなどへ、大幅な改良が施されています」。とフライマスは強調する。

新しいパナメーラが基礎骨格とするのは、フォルクスワーゲン・グループに属するポルシェとベントレーによって共同開発された、モジュラー・スポーツ・ツールキットと呼ばれるプラットフォーム。例によって、シャシー剛性は強化されている。

特徴となるのが、フロントのバルクヘット部分。フォーム材を充填したスチール構造を採用している。リアまわりには補強ブレースが備わり、フレームレスのテールゲートを与えることも可能になったという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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