スポーティさとパワフルさ ポルシェ・パナメーラ PHEVの試作車へ試乗 3代目へ一新

公開 : 2023.08.26 08:25

新しい4.0L V8ツインターボ+モーター

それ以上に注目すべきが、パワートレインだろう。エンジンのラインナップが、V6とV8のガソリンターボということに変わりはない。だが、最高出力650ps以上とうたわれるターボ E-ハイブリッドを筆頭に、4種のプラグイン・ハイブリッドが揃えられる。

そのターボ E-ハイブリッドの場合、4.0L V8ツインターボエンジンに新設計の駆動用モーターが組み合わされ、25.9kWhの駆動用バッテリーを搭載。従来の17.9kWhから容量を増しつつ、重さは約300kgで22kgの増加に留めている。

ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプ(欧州仕様)
ポルシェパナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプ(欧州仕様)

駆動用モーターは、デュアルクラッチATの内部に組み込まれ、54ps増しの180psを発揮。冷却系も見直され、最大80kWの回生能力も備わる。駆動用バッテリーの大容量化と相まって、電気だけで走れる距離は70%も伸び、85kmに届くという。

充電能力はACで11kWまで。2代目は3.6kWまでだったから、こちらも良くなった。

V8エンジン自体も、これまでのツインスクロールからシングルスクロールへ変更された、新しいターボチャージャーを獲得。冷間時の排気ガスをクリーンにし、高負荷時には燃費も向上できたとしている。

クランクシャフトやピストンも再設計。燃料インジェクションの噴霧圧は、250barから350barへ強化されている。

ドライブモードには、E-パワー、ハイブリッド、スポーツ、スポーツプラスの4種類を設定。多様な走行特性を宿している。

従来以上のスポーティさとパワフルさ

内燃エンジンを用いないE-パワー・モードで走らせてみると、従来のパナメーラ・ターボS E-ハイブリッドより確実にパワフル。アクセルペダルを緩めるとスルスルと惰性走行し、機械的な内部抵抗も大幅に低減されているようだ。

ハイブリッド・モードへ切り替えれば、目に見えてレスポンスが向上。V8エンジンと駆動用モーターが協働し、驚異的なパフォーマンスを披露する。それでいて素直で滑らか。日常的な環境でも扱いやすい。

ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプ(欧州仕様)
ポルシェ・パナメーラ・ターボ E-ハイブリッド・プロトタイプ(欧州仕様)

シングルスクロール・ターボがブースト圧を高めるまで、駆動用モーターがしっかりトルクを加算。アクセルペダルを傾けた瞬間から、鋭く加速が始まる。シフトダウンする必要性を感じないほど。

ポルシェは、プラグイン・ハイブリッドの3代目パナメーラへ、従来以上のスポーティさとパワフルさを与えたいと考えた。確かに、プロトタイプのターボ E-ハイブリッドは、それを叶えたようだ。

可変式の四輪駆動システムと、トルクベクタリング機能により、トラクションも秀抜。巡航時はエンジンの存在感が薄く、駆動用モーターのノイズは小さく、長距離も快適に移動できるだろう。

乗り心地にも不満はなし。舗装の剥がれた穴などを通過しても、落ち着きを乱さない。ダイレクトな操縦性も、2.3tある車重を感じさせないといっていい

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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