インテリアの質感向上 フォルクスワーゲンID.3 プロSへ試乗 好印象な走りは従来どおり

公開 : 2023.09.03 08:25

VWの主力バッテリーEVが、インテリアを中心にアップデート。英国編集部が公道で仕上がりを確かめました。

アップデートでインテリアの質感を向上

最近のフォルクスワーゲンは、バッテリーEVの販売が芳しくなく少し悩んでいるようだ。アップデートを施したID.3の市場投入が、その打開に結びつくことを願っているに違いない。

といっても、スタイリングには殆ど変化がない。新旧を並べてみない限り、違いを発見することは難しいかもしれない。

フォルクスワーゲンID.3 プロS(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.3 プロS(英国仕様)

落ち着いて観察すると、ボンネット後端にあったプラスティック製のスポイラーがなくなっている。フロントバンパーも、両端にエアインテーク状のくびれが追加されるなど、造形が新しくなっている。フロントフェンダー部分には、ID.のロゴが与えられた。

改めて眺めれば、全体的にモダナイズされ、容姿の洗練度が増した印象を受ける。変化度は、僅かかもしれないが。

ただし、今回のアップデートでフォルクスワーゲンが重視したのは、その内側。これまでのID.3は、硬質なプラスティック製部品など、安価に見えるインテリアに批判が出ていた。同社も、仕上がりには納得していなかったと認めている。

これを踏まえて、ID.3の内装は一新。71%がリサイクル素材だという、柔らかなファブリックがドアパネルやシート表皮に用いられている。光沢の強いプラスティック製パネルも多く残っているが、ソフトタッチ加工が施されたエリアも拡大している。

航続距離はプロSで558km 急速充電能力は強化

インフォテインメント用のタッチモニターは大型化され、エアコンの温度などを調整するタッチセンサー、「スライダー」にはイルミネーションが内蔵されるという。ただし、それを獲得するのは2024年以降。今回の試乗車には実装されていなかった。

インフォテインメント・システムのバージョンは、現在の最新版となる、3.5がインストールされている。とはいえ、試乗時の僅かな時間に触れただけでも、いくつかの不具合が散見された。反応が遅れるといった振る舞いもあった。

フォルクスワーゲンID.3 プロS(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.3 プロS(英国仕様)

このシステム・ソフトウエアは、無線によるアップデートへ対応している。時間の経過とともに、改善されていくはずだ。

駆動用バッテリーの容量は、ID.3 プロで58kWhとなり、航続距離は428kmがうたわれる。ID.3 プロSには77kWhのバッテリーが載り、1度の充電で最長558km走れる。

リアに積まれる駆動用モーターの最高出力は、共通して203ps。最大トルクは31.4kg-mを発生する。これらは、従来と変わらない。

急速充電能力は、これまでの125kWから170kWへ上昇した。ちなみに、英国での競合モデルとなるMG 4 EVは、最大135kW。テスラモデル3でも150kWまでだから、誇れる内容だといっていい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事