B9系の最後を飾る限定仕様 アウディRS4 アバント・コンペティションへ試乗 実用性と積極性

公開 : 2023.09.06 08:25

450psのV6ツインターボに上質なインテリア

今回の試乗は公道に限られたため、専用チューニングのリアデフがコーナリングにどれだけ影響を与えるのか、確かめることはできなかった。ジャッキアップして、ダンパーをサーキット志向の設定へ切り替えた変化も、あいにくご報告できない。

少なくとも、限界領域は公道で解き放てるレベルを越えている。週末の早朝にタイヤを外して、自分好みのセットアップを探す作業が楽しいことも、間違いないだろう。

アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)
アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)

パワートレインの設定は従来のまま。3.0L V6ツインターボ・ガソリンエンジンが、450psを5700-6700rpmで発揮する。2000rpmから湧き出る最大トルクは、61.1kg-mとたくましい。

スロットルレスポンスは鋭敏で、トルク曲線はフラット。粘り強く扱いやすいだけでなく、4000rpmを超えた辺りからパワーが高まり、呆れるほどの加速が繰り出される。

上質なインテリアは、アウディへの期待どおり。車内は大人4名が問題なく長時間過ごせる広さがあり、荷室は大容量で旅行にも困らない。内装は落ち着いたカラーリングでコーディネートされ、ソリッドな素材で仕立てられている。

ドライブモードを切り替えれば、ステアリングホイールの重み付けやドライブトレインの特性を変更できる。ただし、前述の通りサスペンションの設定は変わらない。

B9系のラストを飾る素晴らしい特別仕様

恐らく、ステーションワゴンが嫌いでなければ、RS4 アバント・コンペティションを簡単に好きになれるはず。事実、グレートブリテン島で販売される75台は完売状態。だが、9万ポンド(約1629万円)程度で、転売された個体が売に出ているようだ。

アウディA4 アバントの秀でた実用性と、RSの明確な積極性が、見事に融合している。通好みの俊足ワゴンとして、魅力は巨大だ。間もなくB9系のRS4 アバントはモデルライフを終える。そのラストを飾る特別仕様として、素晴らしい内容にあると感じた。

アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)
アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)

アウディRS4 アバント・コンペティション(英国仕様)のスペック

英国価格:8万4600ポンド(約1531万円)
全長:4782mm
全幅:1866mm
全高:1414mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1745kg
パワートレイン:V型6気筒2984ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/5700-6700rpm
最大トルク:61.1kg-m/2000-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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