闇だらけのブリティッシュ・レイランドが生んだ名車 14選 英国の「黒歴史」における数少ない宝石

公開 : 2023.09.03 18:05

ランドローバーレンジローバー(1970年)

ごく初期のクロスオーバー車の1台であり、どこへでも行ける山羊のような走破性と、控えめで威厳のあるエレガンス、高級車のような快適性、最高速度160km/hの性能を兼ね備えている。SUVブームの火付け役となった数少ないクルマの1つであり、ブリティッシュ・レイランドが生んだ真の世界的名車の1つでもある。

しかし、同社がその功績に気づき、生かすまでには何年もかかった。レンジローバーを育て上げたのは、後のランドローバーの親会社たちだ。それでも、レンジローバーの名が今日まで生き残っていることは特筆すべき点であろう。

ランドローバー・レンジローバー(1970年)
ランドローバー・レンジローバー(1970年)

ローバーSD1(1976年)

ブリティッシュ・レイランドを逆転させたかもしれないクルマ。フェラーリ・デイトナにインスパイアされ、軽量なV8エンジンとシンプルでよく練られたメカニズムの組み合わせが立派な結晶となり、世に送り出された。劇的にフレッシュなローバーSD1は、品質という1つの指標を除いて、あらゆる面でライバル車を圧倒した。

定期的なストライキとひどい品質管理によって、世界的名車は哀れで不運な一流車へと変貌を遂げた。

ローバーSD1(1976年)
ローバーSD1(1976年)

トライアンフ2.5 PI(1969年)

トライアンフとローバーは、セダンの2000でエグゼクティブカーの先駆者となった。トライアンフはミケロッティ氏による巧みなスタイリングと、ルーカス燃料噴射装置によるストレート6で英国での成功を確固たるものにした。

トライアンフ2.5 PI(1969年)
トライアンフ2.5 PI(1969年)

トライアンフ・ドロマイト・スプリント(1973年)

トライアンフの前輪駆動モデル1300から工夫を凝らして作られた、後輪駆動で16バルブのスプリント。ビニールルーフ、セクシーなホイール、スポイラーで隙間なく覆われ、BMW 20002 Tiiに代わる魅力的な低価格モデルとしてデビューした。

英国ツーリングカー選手権(BTCC)でも優勝。高い評価を得たが、ブリティッシュ・レイランドは後継車の開発や生産に失敗した。

トライアンフ・ドロマイト・スプリント(1973年)
トライアンフ・ドロマイト・スプリント(1973年)

トライアンフ・スタッグ(1970年)

エレガントな4ドア・セダンを、さらにエレガントな2+2コンバーチブルにすることに着想を得て、トライアンフ2000の直6を3.0L V8に置き換えた美味しいお菓子。しかし、温度センサーの配置ミスにより、V8エンジンはオーバーヒートに脅かされた。

米国でスタッグが大爆死したのは、それだけで十分だった。メルセデス・ベンツSL並みに見栄えはいいかもしれないが、品質はいつも負けている。

トライアンフ・スタッグ(1970年)
トライアンフ・スタッグ(1970年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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