EV全盛期のデザイン、どう変わる? 抜本的に刷新されるポルシェの外観とは デザイナーインタビュー

公開 : 2023.08.29 18:25  更新 : 2023.08.29 19:40

ヘッドライトの重要性

――ビジョン357の開発プロジェクトから得た最大の成果は?

「『形を作る主なものは何か?』と自問自答した結果、興味深いことにその答えはヘッドライトでした。10年前なら、ポルシェで最も重要なエクステリア要素はヘッドライトだと言っていたでしょう」

ポルシェ・ビジョン357コンセプト
ポルシェ・ビジョン357コンセプト

「しかし、357やミッションX、そして963 LMDh(耐久レーサー)の経験から、ヘッドライトが最重要ではないことが徐々にわかってきています」

「以前はとても慎重だった場所ですが、少しは遊ぶことができます」

――次世代の象徴となるEVを、カレラGTや918スパイダーと同じように特別な存在に感じさせることはできますか?

「象徴的なハローカーを作るときには、常に正当な理由が必要です。背景にはいつも本質的な理由があります。それは、市場とブランドに関連するクルマを作らなければならないからです」

「エクステリアデザイナーにとって、クルマを特別なものにするのは形(シェイプ)ですが、その形は導入したい技術や発信したいメッセージに大きく左右されます」

「ミッションXはその好例で、わたし達はEVでインパクトを与えられると確信しています」

旧来のGTデザインは廃止?

最後に、旧来の944や928に見られるロングボンネット、キャブバックのスタイルはEVにも応用できるかどうかを尋ねると、シャインヒュッテ氏は消極的な姿勢を示した。

「大きなボンネットを持つ古いGTのデザインは、自動車デザインにおける最も古いシンボルです。しかし今、EVにはもうそのようなシンボルはありませんし、偽のメッセージも送りたくないのです。シンボルはまだ使えるかもしれませんが、正直にアピールするパッケージを作らなければなりません。うまくいく可能性もありますが、それは間違ったことだと思います」

ポルシェ928
ポルシェ928

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事