予想外に最高 ランボルギーニ・ウラカン・ステラートに試乗 オンロードでも機能するシャシー

公開 : 2023.09.09 08:25

生産を終えるウラカンに、オフロード仕様のステラートが登場。ソフトなシャシーが生む予想外の楽しさを、英国編集部は高く評価します。

911 ダカールのハードルを上げるステラート

AUTOCARでは、まだポルシェ911 ダカールをグレートブリテン島で試していない。ランボルギーニウラカン・ステラート以上の評価を得るには、相当に高次元の内容が求められそうだ。こんな体験を、筆者は想像していなかった。

ランボルギーニは、素晴らしいエンジンサウンドを放つ。視覚的なドラマチックさでも事欠かない。しかし、もし筆者がどちらか一方を選ぶとしたら、ポルシェのステアリングホイールを握りたいと考えるのが、これまでだった。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

ウラカン・テクニカを初めて運転すれば、恐らくどんなドライバーも驚くはず。しかし、911 GT3の能力を解き放った時に浸れるスリリングさは、それを凌駕する。コミュニケーション力に長け、シリアス。自在に操れる。

しかし、ウラカン・ステラートも出色だった。小さな方のランボルギーニをベースに、車高は44mm持ち上げてある。オフロードに対応するブリヂストン・デューラー・タイヤを履き、跳ね上がる砂利に備えアンダーボディを専用キットで武装している。

後輪操舵システムは装備されず、LDVI(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴィーコロ・インテグラータ)と呼ばれるシャシーの電子制御システムに、専用チューニングが施されている。どの程度のトルクをどのタイヤへ分配するべきか、最適化されたという。

最高出力は610psへ制限 1499台は完売

5.2Lの自然吸気V型10気筒エンジンは、610psへ最高出力が僅かに制限された。吸気用のシュノーケルがルーフの上部へ追加されているが、これは渡河水深を稼ぐためではなく、砂埃を吸い込まないようにするためだ。

それ以外の部分は、従来の四輪駆動のウラカンとほぼ同じ。英国価格は、23万2820ポンド(約4214万円)に設定された。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

インパクトのある容姿に仕立て、生産数を制限することで市場の欲求を喚起。間もなくモデルライフを終える予定にあり、少々の在庫を抱えていたウラカンへ、再び脚光を浴びさせることへ成功したようだ。

全世界へ提供されるウラカン・ステラートは、1499台。フェラーリ296 GTBなど素晴らしいスーパーカーが選べる2023年にあって、早々に予定台数がすべて売れたという事実は、ランボルギーニの狙いが正しかったことを示している。

かくして、モデル末期に誕生したステラートは、過去最高のウラカンになっている。偶然なのかもしれないが。

近年の高性能スポーツカーで一般道を運転した時、ワイドなタイヤの接地面と平滑ではない路面が生み出す、絶え間ない揺れやノイズを想像する読者もいらっしゃるはず。しかし、強烈な見た目のウラカン・ステラートの場合、そんな心配はいらない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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