予想外に最高 ランボルギーニ・ウラカン・ステラートに試乗 オンロードでも機能するシャシー

公開 : 2023.09.09 08:25

見事にオンロードでも機能するシャシー

オフロードを前提にサスペンションはソフト側へ振られ、グリップ力は追求されていないタイヤと組み合わされている。5.2L V10エンジンへ本気のパワーを求めなくても、一体感の濃い、魅力的なドライビング体験を堪能できる。

最初は当惑するほど乗り心地はしなやかで、カーブへ侵入すれば穏やかなステアリングが正確に反応することへ唸る。通常のウラカンのようなアグレッシブさは弱められているが、シャシー自体は表現力が増している。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

スロットルレスポンスと7速デュアルクラッチ・オートマティックは、従来どおりシャープ。これらが融合することで、特有のオールドスクールな楽しさを獲得している。

コーナーで強めにプッシュすると、タイヤが支えきれなくなり、フロント側が外へ流れ出す。だらしないアンダーステアを抑えるには、思い切りテールを振り回し一気にパワーを掛けるしかないが、それが痛快。

コーナーの入口でアクセルペダルを緩め、フロントノーズへ荷重を移し、出口へ向けて姿勢を整える。あとはパワーをかけて、テールを沈めながら加速すればいい。

何度も繰り返したくなるほど、すこぶる楽しい。グリップやトラクションを下げることで、純粋な喜びを得られるハードルも低くなる。ウラカン・ステラートのシャシーは、見事にオンロードでも機能する。

予想外に最高のランボルギーニ

こんな体験を影で支えているのが、ブリヂストンのタイヤ。オフロードを思い切り駆け回れるだけでなく、ミドシップのウラカンらしい、鋭い走りにも対応させている。ただし、荒れた路面を許容するかわりに、最高速度は260km/hへ制限される。

車高が持ち上げられたことで、通常のウラカンより乗降性は改善している。頭上へ伸びるシュノーケルのおかげで、後方視界は大きく犠牲になっている。といっても実用性や使い勝手は、このクルマの場合、二の次でいいだろう。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

最高の笑顔を引き出す、これまでになかったスーパーカーだ。ウラカン・ステラートは、夢中になるほどエキサイティングで、予想外に最高のランボルギーニだといっていい。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)のスペック

英国価格:23万2820ポンド(約4214万円)
全長:4525mm
全幅:1956mm
全高:1245mm
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:−km/L
CO2排出量:337g/km
車両重量:1470kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:610ps/8000rpm
最大トルク:57.0kg-m/6500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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