ゴルフGTIからマニュアルが消えた VW北米で最終モデル「GTI 380」設定 今後は全車AT化?
公開 : 2023.08.31 18:45
排出ガス規制の影響により、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIからマニュアル・トランスミッション(MT)の設定が廃止されることに。北米では最終記念モデルが発表。ゴルフ全車からMTが廃止される可能性も。
ホットハッチ最後のマニュアル車
マニュアル・トランスミッション(MT)のフォルクスワーゲン・ゴルフGTIが47年の歴史に幕を下ろした。GTIの伝統へのオマージュとして、特別仕様車「GTI 380エディション」が北米市場向けに設定された。
以前にも報じられたように、欧州次期排出ガス規制ユーロ7の影響により、フォルクスワーゲン・ゴルフは2024年の一部改良の一環としてオートマチック・トランスミッション(AT)のみに移行する見通しである。この動きが米国での販売に影響するかどうかは不明だったが、同社の現地部門は今後のGTIとRの全モデルがAT車のみになることを明らかにした。
GTI 380は北米市場専用モデルで、初秋に発売予定。価格は3万2485ドル(約475万円)から。
フォルクスワーゲン・オブ・アメリカのプロダクト・マーケティング&ストラテジー担当責任者、ピーター・ダニロヴィッチ氏は、「GTI 380は、40年以上にわたってマニュアル車のGTIを愛し続けてきたエンスージアストへの感謝の気持ちを伝えるモデルです」と述べている。
GTI 380という名称は、第8世代となる現行ゴルフのモデルコードにちなんで与えられたもので、ゴルフ4をベースとした特別仕様車GTI 337も意識している。
ブラックのルーフとミラー、レッドのインテリアトリム、ブラックの19インチホイール、専用色のグラファイトグレーメタリック、ダイナミック・シャシー・コントロール(DCC)が標準装備される。
パワートレインなどは従来のゴルフGTIと変わらず、最高出力245psの2.0L 4気筒エンジン「EA888」を搭載し、0-100km/h加速タイムは6.3秒、最高速度は250km/hとなる。
MT廃止は世の流れ?
フォルクスワーゲンの技術開発責任者、カイ・グリューニッツ氏は以前、AUTOCARに対して「次世代のゴルフでは、マニュアルのギアシフトを持つものは存在しないだろう」と語った。この決定は排出ガス規制遵守によるものだというが、正式にはまだ決定していない。フォルクスワーゲンは、ユーロ7の規制案が固まる段階まで待っているものと予想される。
フォルクスワーゲンのデータによると、ゴルフGTIのMT車のCO2排出量は162g/kmで、AT車の160g/kmとはわずかな差だが、メーカーの企業平均排出量には大きな影響を与えるものだ。
ゴルフGTIのMT車は、50年近い歴史に幕を下ろすことになる。1975年に発売された初代ゴルフGTIは、クローズレシオの4速トランスミッションを搭載していたが、1979年に5速に変更された。それ以来、全世代のゴルフGTIにMT車が用意されている。
ゴルフ以外のモデルが同様の影響を受けるかどうかは、まだ明らかではない。
MTを廃止する自動車メーカーは少なくない。ミニは最近、最後のMT車として特別仕様のJCWを公開したほか、メルセデス・ベンツは2021年からAT車のみとなっている。
画像 有終の美を飾るマニュアル・ホットハッチ【フォルクスワーゲンGTI 380を標準のゴルフGTIと写真で比較】 全31枚