LEVC TX 詳細データテスト 最新ロンドンタクシー 乗り心地は極上 発電用エンジンは洗練不足
公開 : 2023.09.02 20:25 更新 : 2023.10.24 19:47
最新のロンドンタクシーを特別に借り出してテスト。大柄で居住性の高いボディながら伝統の小回りは健在で、ゼロエミッション走行可能なパワートレインは必要十分な動力性能を発揮。乗用車とは別基準ながら、優秀なクルマです。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ー内装 ★★★★★★★★☆☆
ー走り ★★★★★★☆☆☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★☆☆
はじめに
「誰もが知っているロンドンタクシー。ひとびとはほとんどが、乗客としてこれを体験する。しかし、普通の自動車オーナーが自ら運転することはほぼない」。
これは1937年6月25日号のオートカーに掲載した『タクシーでの3日間』の冒頭文だ。そのとき乗ったのは、バーミンガムで製造された12psのオースティン製タクシーで、向かったのはブルックランズ。着いた先で行った性能テストでは、0−48km/h加速が19.1秒、ゼロヨン通過速度が77km/hで、回転直径は7.62m。シングルランドーレットボディで、価格は370ポンド。現在の貨幣価値に換算すると2万ポンド(約372万円)前後に相当する。
市街地では「考えうる限り最高に便利」だったというこのクルマ。目的に適わないところはまったくなかった。残念だったのは、テスト中にこのクルマを呼び止める乗客がいなかったことだ。
目的への適性というコンセプトは、ロンドンタクシーをロードテストするのが1937年でも2023年でも興味深いことの理由だ。最新タクシーは、LEVCことロンドン・エレクトリック・ヴィークル・カンパニー製。乗客を運ぶということにかけては、ニュルブルクリンクでラップを刻むポルシェ911GT3RSや、戦火の中で悪路を走る軍用車のごとく磨き抜かれている。
どんなスペシャリストなクルマでも、これほど注目に値するものはないだろう。それも、だれも個人所有できないクルマだというのに。
ロンドンタクシーの歴史は、1937年から連綿と紡がれ続けている。つい最近まではディーゼルのみだったが、2018年からはゼロエミッション走行が可能になった。今回のLEVC TXはガソリン・プラグイン・レンジエクステンダーで、2017年の発売以来、世界中へ1万台以上を送り出している。ロンドンを走るブラックキャブの約40%を占め、タクシー運転手の高評価を得ている。はたして、職業ドライバーならぬわれわれが乗ると、どのような感想を得るのだろうか。