SUVの車格とミニバン並の広さを誇る新型EV ルノー「セニック」初公開 新時代のファミリーカー目指す

公開 : 2023.09.05 06:05  更新 : 2023.09.05 16:13

1回の充電での航続距離は620km以上

セニックEテック・エレクトリックには2種類のバッテリーが用意され、いずれも前輪駆動となる。スタンダードレンジモデルには、最高出力170psのモーターと60kWh(NET)のバッテリーが組み合わされ、0-100km/h加速9.3秒、最高速度150km/h、航続距離は420kmと謳われている。

ハイレンジモデルでは、最高出力218psのモーターと87kWh(NET)のバッテリーを搭載し、航続距離を最長620kmに伸ばすとともに、最高速度を170km/hに引き上げ、0-100km/h加速のタイムを0.9秒短縮する。

ルノー・セニックEテック・エレクトリック
ルノー・セニックEテック・エレクトリック    ルノー

どちらのバッテリーもLG化学のニッケル・マンガン・コバルト技術を使用しており、メガーヌに搭載のユニットよりもエネルギー密度が6%高いとされる。

また、プリコンディショニング機能を見直し、バッテリーの最適動作温度を下げた。特筆すべきは、メガーヌとは異なり、ヒートポンプが全車に標準装備されることだ。回生ブレーキのレベルは4段階に設定される。

スタンダードレンジモデルは最大130kWの急速充電が可能で、ハイレンジモデルでは150kWまで対応する。車載AC充電器は7kWまたは22kWから選択できる。

内外装にはリサイクル素材を多用

ルノーによると、ドアとボンネットにリサイクルアルミニウムを最大80%使用するなど、全体の素材の最大24%がリサイクルされているという。コックピットは26%が再生プラスチックで、ダッシュボードは約80%がリサイクルされている。廃車後はバッテリーを含め、車体の90%をリサイクルすることを目指している。

また、ルノーは2025年までにレザーの使用を全廃する目標を掲げている。ステアリングホイールには、バイオ由来素材を51%使用したグレイン加工ファブリックが採用される。「エスプリ・アルピーヌ」仕様では、再生ペットボトル80%、廃シートベルト20%から作られるファブリックが使用される。

ルノー・セニックEテック・エレクトリック
ルノー・セニックEテック・エレクトリック    ルノー

セニックEテック・エレクトリックは、ルノーの「ElectriCity」ネットワークの中心にあるフランスのドゥエで生産される。価格は未確認だが、テスラモデルYなどの主要なライバルを下回る見込み。

ルノーブランドのCEOであるファブリス・カンボリーヴ氏は、セニックEテック・エレクトリックの発表会で、EVは依然として「一部の幸せな人々の手の届くところにある」と述べた。その結果、「アーリーアダプター向けの製品で興奮を生み出すことが課題」となっているという。

しかし、「今は第2段階に入り、大衆にEVを普及させる時です」とし、「製品によって人々に妥協を強いるようなことがあってはならない」と述べた。また、「欧州の消費者にとって適切なパッケージ」となるよう、一から設計されたという。

「EVをすべての人のための製品にしましょう」とカンボリーヴCEOは誓った。

初代ルノー・セニックは、1991年のフランクフルト・モーターショーでコンセプトモデルとして披露された。そのため、同じくドイツ国内で開催されたIAAモビリティ2023は、セニックEテック・エレクトリックの発表の場にふさわしいとカンボリーヴCEOは言う。

「このコンセプトはファミリーカーを近代化させました。ファミリーカーは外見こそコンパクトでも、室内は広々としていて非常に快適であることを示したのです」

セニックは1996年に市販車となり、それ以来530万台以上が販売された。カンボリーヴCEOによると、現在も200万台以上が世界の道路を走っているという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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