最後まで特別だった アルピーヌA110 長期テスト(最終) 自動車史に刻まれるべき傑作
公開 : 2023.09.16 20:25
自動車史に深く刻まれることは間違いない
5年前、雨のサーキットで開かれた試乗会では、リミテッドスリップ・デフが欲しいと感じたことも事実だ。シケインの出口では内側のタイヤがスピンするし、ドリフトアングルも深くはならない。しかし、そもそも派手なドリフトを楽しむクルマではない。
荷室容量も、筆者のようなライフスタイルでは問題なし。本当に必要な荷物を選んで、丁寧にパッキングして、助手席に詰めばまかなえた。
改善したいと思える部分も殆どなかった。挙げるなら、デジタルラジオの感度が悪いことと、荷室の開口部が小さいこと。メーター用モニターに描かれるグラフィックが、スポーツモード時で少し見にくくなることにも、触れておきたい。
インフォテインメント・システムは、マイナーチェンジでアップル・カープレイに対応したため、以降は不満を抱くことはないだろう。シートの高さは、早くディーラーで調整しておけば良かった。
数か月を一緒に過ごして、気になる点がこの程度だったという事実には驚く。たとえブランドの認知度が低くても、クルマとしての完成度を示すうえで、重要な結果だといっていいだろう。
普及が進むバッテリーEVは、コンパクトなモデルでも車重が2tへ迫る。数年後には、殆ど無音のパワートレインで走る、SUVやクロスオーバーが道へ溢れているだろう。その時、小さく軽いA110の素晴らしさを改めて認識するはず。過去の傑作として。
歴史を振り返れば、死後に功績を讃えられた偉人は少なくない。自動車史に、A110が深く刻まれることは間違いない。
セカンドオピニオン
登場から数年が過ぎたアルピーヌA110。時間の経過を感じさせるのではないかと想像するかもしれないが、車重が増え、感覚が希薄になる現代のスポーツカーにあって、一層新鮮味が増しているといっていい。
あらゆる自動車移動を、本当に楽しいものへしてくれる。こんな表現ができるクルマは、極めて珍しい。 ジム・ホルダー
テストデータ
気に入っているトコロ
操縦性:普段使いできるスポーツカーのベンチマーク。発表から時間が経過しても、この繊細さに匹敵する例はない。
コンパクトなサイズ:小さなボディを維持したアルピーヌの意志が、ドライビング体験の喜びのカギになっている。
スタイリング:当初は、オリジナルほどの魅力は感じなかった。しかし、今ではすっかり心が奪われている。
気に入らないトコロ
小さなトランクリッド:開口部が小さく、本来なら荷室へ収まるサイズのスーツケースが引っかかり入らない。
デジタルラジオ:感度が悪く、すぐに聞こえなくなる。最終的にラジオを聞くのを諦めさせるほど。
走行距離
テスト開始時積算距離:3020km
テスト終了時積算距離:1万3214km
価格
モデル名:モデル名:アルピーヌA110(英国仕様)
開始時の価格: 4万9990ポンド(約905万円)から
現行の価格:5万1090ポンド(約925万円)から
テスト車の価格:5万4144ポンド(約941万円)
オプション装備
18インチ・ダークグレー・ダイヤモンドターン・セラック・ホイール:936ポンド(約16万9000円)
パーキングセンサー:660ポンド(約11万9000円)
アルミニウム・ペダル:120ポンド(約2万2000円)
アルピーヌ・フロアマット:110ポンド(約2万円)
ブルー・ステッチ:90ポンド(約1万6000円)
ステアリングホイール・ブルーロゴ:78ポンド(約1万4000円)
燃費&航続距離
公称燃費:12.4km/L
タンク容量:45L
平均燃費:13.9km/L
最高燃費:15.6km/L
最低燃費:11.7km/L
航続可能距離:624km
長期テスト車のスペック
全長:4205mm
全幅:1800mm
全高:1250mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.5秒
車両重量:1098kg
パワートレイン: 直列4気筒1798ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:252ps/6000rpm
最大トルク:32.5kg-m/2000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
荷室容量:96L
ホイール:18インチ7.0J(フロント)/18インチ8.0J(リア)
タイヤ:205/40 ZR18(フロント)/235/40 ZR18(リア)
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:−ポンド/月
CO2 排出量:152g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1050ポンド(約19万円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:−ポンド
1マイル当りコスト:−ポンド
不具合:なし