アルプスとアウトバーンへ見事に対応 アウディeトロン GT 長期テスト(4) 911へ近い安心感

公開 : 2023.09.17 20:25

ポルシェと技術共有するアウディの高性能EV、eトロン GT。英国編集部が日常使いすることで、その能力を掘り下げます。

積算1万1574km 細かな凹凸をしなやかに吸収

2週間ほど、アウディeトロン GTを同僚のジャック・ウォリックへ貸したのだが、彼は快適性に好印象を抱いたようだ。路面の細かな凹凸をしなやかに吸収しつつ、設置感がしっかりあることを高く評価していた。

バッテリーEVへ懐疑的な祖父母のお迎えに使ったというが、ご夫妻も感銘を受けていたという。

アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)

積算1万2684km 揺るがいない快適性が生む魅力

前回に続いて、今回は同僚のウィル・リメルへ貸し出した。約480kmの行程で、充電は2回だけで済んだとのこと。2回目は、念のため追加充電したに過ぎないらしいが。

高速道路の巡航も、カーブが多い郊外の道も、自宅で過ごすかのようにリラックスして運転できたと話していた。市街地での取り回しの良さにも触れていた。揺るがない快適性が、大きな魅力を生むのだろう。

アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)

積算1万2863km 高性能なグランドツアラーになり得るか

この初夏、アウディeトロン GTの能力を確かめるべく、約2900kmのロングドライブへ挑んでみた。内燃エンジン・モデルの比較にならないほど、頻繁なエネルギー補給は必要だったが、意外なことにストレスはさほど感じなかった。自身でも驚いている。

現実的な航続距離は、390km程度。ウンザリするかと思っていたが、むしろ長旅を楽しめたように思う。

アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)

イタリア北部、ベローナを目指した旅の目的は、バッテリーEVのeトロン GTが高性能なグランドツアラーになり得るのか、しっかり確かめること。追って詳細なレポートを掲載予定だが、印象的だったことをいくつかご紹介させていただきたい。

アルプスのワインディングへ見事に対応

オーストリアのチロル州経由で英国からイタリアへ向かう場合は、ブレンナー峠ではなく、ビピテノの町まで一般道の508号線を走るのがオススメ。素晴らしい景色を眺めながら、アルプス山脈のチャレンジングなワインディングを堪能できる。

確かに、峠付近は少々は険しい。だが、牧草地の中を縫うように伸びる道を、気持ち良く運転できる。

アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)

かくして、eトロン GTはアルプスへ見事に対応。ヘアピンカーブを敏捷に旋回し、内燃エンジン・モデルなら1速から3速で攻め込む区間を、ミドシップ・スポーツカーのような落ち着きと正確性でこなしてみせた。

車重が2300kgあるにも関わらず、13%の急勾配を意に介さないパワフルさにも感心した。峠までの登りでは航続距離が一時的に短くなったものの、下りの25kmほどは重力を活用し下山。最終的な航続距離の変化は、限定的といえた。

もう1つ、eトロン GTの能力で感心したのが、グレートブリテン島へ戻る途中に通過したドイツ・バイエルン州のアウトバーン。バカンスのハイシーズンからずれた平日なら、まさにクルマ好きが心に描くような状況が待っている。

草原や森林の間を、緩やかに2車線の高速道路が伸びる。アスファルトは非常に滑らかで、視界も良好。超高速域では、サスペンションへ強めの負荷が掛かるカーブも点在している。しかも交通量は少ない。

BMW M5やポルシェ911 ターボのオーナーにとって、天国のような場所だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト アウディeトロンGTの前後関係

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