アルプスとアウトバーンへ見事に対応 アウディeトロン GT 長期テスト(4) 911へ近い安心感

公開 : 2023.09.17 20:25

200km/h前後での走行時の安定性

ガソリンのように、駆動用バッテリーを数分で満たすことはできない。最高速度も300km/hへ迫ることはない。それでも、最高出力530psのeトロン GTは、ドイツ製スポーツサルーンに対する期待へ不満なく走りで応えてみせた。

240km/hを超えた辺りでリミッターが掛かるものの、そこへ到達する鋭さには舌を巻く。最高速度までの加速が、ここまで容赦ないものだとは想像していなかった。

アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)

さらに印象深かったのが、200km/h前後で疾走中の安定性。空力特性の優秀さが見事に表れており、安心感という点ではM5より911へ近いといっていい。タイカンと技術共有する事実を感じさせるうえ、パナメーラの印象とも重なる。

加えて、その速度域でもエネルギー効率の低下が想像より小さいことにも驚いた。一定の車重があり、メカニズムがスムーズなこともあって、慣性へ乗るようにスピードが保たれる。勾配の変化に応じて、僅かにアクセルペダルの角度を増すだけでいい。

とはいえ、急速充電器がある場所は把握しておいた方が良いだろう。空気の塊を切り裂くには、相応のエネルギーが必要になる。

高速で突っ走った後は、エフィシェンシー・モードを選ばれることをオススメしたい。車高が僅かに下がり、乗り心地は硬くなるものの、航続距離は10%ほど伸びる。速度域が安定した区間では、5.1km/kWhという優れた電費が得られる。

テストデータ

気に入っているトコロ

穏やかな佇まい:eトロン GTの容姿は控えめ。視覚的に、周囲へ刺激を与えることはないだろう。車高の落ちるエフィシェンシー・モードでは、見た目が一層引き締まる。

気に入らないトコロ

充電ポート:充電ポートは左右に用意されているが、フロントかリアに付いていた方が便理。充電器の場所によっては、接続が難しいことがある。

テスト車について

アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)

モデル名:アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
新車価格:11万2850ポンド(2042万円)
テスト車の価格:11万6315ポンド(約2105万円)

テストの記録

航続距離:440km
電費:4.8km/kWh
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト アウディeトロンGTの前後関係

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