VW次期「ゴルフ9」は2028年発売へ 最先端プラットフォームでEV専用車に? 今わかっていること

公開 : 2023.09.08 06:25

・第9世代となる次期VWゴルフの最新情報まとめ。
・ゴルフがついにEV化? 800V電圧で超急速充電を実現。
・自動運転、デザイン、価格、GTIモデルはどうなるのか。

「ゴルフ9」はEVになる?

9代目となる次期フォルクスワーゲン・ゴルフは、2028年に次世代プラットフォーム「SSP」をベースにEVとして発売される見込みである。

サイズとしては次期ID.2と現行ID.3の間に位置することになる。一方、現行ゴルフ8は2025年7月に計画されている欧州排出ガス規制ユーロ7に適合するため、まもなく大規模な改良を受ける予定だ。

次期ゴルフ9は次世代プラットフォーム「SSP」を採用する。(画像は予想レンダリングCG)
次期ゴルフ9は次世代プラットフォーム「SSP」を採用する。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

次期ゴルフ9について、これまでの取材でわかっていることと、記者の予想をまとめる。

超急速充電とレベル4自動運転に対応か

SSPプラットフォームは、現行のMEBからさらに一歩進んだ性能と実用性を実現するとされている。フォルクスワーゲン・グループのオリバー・ブルーメCEOは最近、「SSPはスケールと標準化の必要性と、差別化とスピードのバランスをとるもの」と述べ、その先進性を強調した。

注目すべき点は、800Vのバッテリー電圧に対応していることであり、これにより現行EVの最大175kWをはるかに上回る充電速度が可能になる。フォルクスワーゲンによると、MEBベースの車両は10~80%の充電を最短35分で行うことができるのに対し、SSPベースは最短12分で行えるという。

充電速度の高速化と高度な自動運転・運転支援システムに期待。(画像は予想レンダリングCG)
充電速度の高速化と高度な自動運転・運転支援システムに期待。(画像は予想レンダリングCG)    AUTOCAR

また、SSPに搭載する「2.0」ソフトウェア・スタックは、レベル4の自動運転機能にも対応できるように設計されている。つまり、次期ゴルフ9以降のモデルは、仕向地の法令が許す限り、広範なハンズオフ運転が可能になるかもしれない。

SSPは当初、2026年に量産化される予定だったが、各メディアで報じられているように開発の遅れに悩まされている。そのため、兄弟ブランドのアウディは中国市場向けの次世代EVに上海汽車のプラットフォームを使用せざるを得なくなった。

手頃な価格は実現できるか デザインは?

しかし、世界で最も売れているクルマの1つであるゴルフの立ち位置を考えると、おそらく最も重要なのは販売価格だろう。実際、フォルクスワーゲンは手頃な価格実現を目指しており、現行ゴルフ8と同等の価格帯になると予想されている。

フォルクスワーゲン・グループの新しい「ユニファイド」バッテリーセルは、生産コストを削減するために自社開発・生産され、すべてのブランドのEVで共有される。また、部品共有の割合が全体的に高まり、スケールメリットによって市場投入コストが抑えられることになる。

VWは「ID2.allコンセプト」で小型EVのデザインの方向性を示した。
VWは「ID2.allコンセプト」で小型EVのデザインの方向性を示した。    フォルクスワーゲン

これらのシステムが整えば、「ほとんど」のSSPベースのEVは、開発コストをMEBベースと比較して30%削減し、内燃エンジン車と同等の利益率を達成することができるという。

ステアリングに関して、最近フォルクスワーゲンのデザイン責任者に就任したアンドレアス・ミント氏は、ゴルフ9の開発を最優先している。ミント氏は今年初めに就任してわずか数週間後に「ID.2all」コンセプトを発表し、デザインの方向性を大胆に変えていくことを宣言した。

同氏によると、このアプローチは「わたし達のアイコンのDNAを未来に伝える」ものだという。

ミント氏はさらに、フォルクスワーゲンの今後のデザイン理念として3つの柱を挙げた。安定性、好感度、刺激である。これは、認識されやすい要素を盛り込むというブランドCEOのトーマス・シェーファー氏の目論見と一致するが、ID.Buzzのようなレトロな気風に傾倒することはない。

「ブランドは常に自らを改革し、新しいものを生み出していかなければなりません。何か新しいバージョンを作るとき、それは最新の機能を備えた素晴らしい解釈でなければなりません」とミント氏は言う。

そのため、ゴルフ9は過去半世紀にわたるすべての歴代モデル同様、「革命」というよりはむしろ「進化」的なデザインとなるだろう。

さらにシェーファーCEOは、2030年までにフォルクスワーゲンのすべてのクルマが、室内の車載機能コントロールとして「ボタンを持つようになる」と述べた。近年のモデルで批判されることの多いタッチ操作から脱却することで、使い勝手の向上を図る狙いだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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