ラリー仕様のマスタング、まさかの市販化決定 専用チューンで最高出力487ps 悪路走破性強化
公開 : 2023.09.11 06:05
・ラリークロス仕様のフォード マスタング マッハE、2024年発売へ。
・足回り、パワートレインをチューンアップして悪路走破性向上。
・ホワイトホイールやエアロなど内外装も専用デザインに。
見た目も足回りも専用設計
フォードは、9月2日にドイツ・ミュンヘンで開幕した国際モーターショー「IAAモビリティ2023」において、高出力の電動SUVとしてマスタング・マッハEラリーを公開した。2024年初頭に欧州で発売予定である。
既存のマスタング・マッハE GTをベースに、デュアルモーター四輪駆動パワートレインをチューンナップ。最高出力487psと最大トルク89.7kg-mを発生する。
オフロード走行を想定したシャシーセッティングも特徴の1つで、車高は標準車より20mm高く、専用設定のスプリングとショックアブソーバーにより悪路走破性能を高めている。ホワイトの19インチ・ラリー用ホイールに、ミシュランのクロスクライメートを履く。
走行モードには独自の「ラリースポーツ」が用意され、リニアなスロットル・レスポンスによる加速コントロールの向上、よりアグレッシブなダンピング、滑りやすい路面でのトラクションの向上が図られる。また、トラクションとスタビリティ・コントロール・システムを「より大きなスライドができるように」適応させるという。
91kWhのバッテリーと電気モーターは、厚いアンダーボディシールドによって岩や段差から保護されている。フロントバンパーには2つのフックが内蔵されており、「オフハイウェイの冒険がちょっとスパイシー」になったときに備えている。
フォードによると、マッハEラリーのスタイリングは伝説的なホットハッチ、フォーカスRSからインスパイアされたもので、特に「ドラマチック」なリアスポイラーが特徴的だという。
その他のユニークな要素としては、力強いフロントスプリッター、ブラックのルーフパネル、ラリースタイルのフォグライト、レーシングストライプなどが挙げられる。
インテリアでは、ホイールと同じホワイトを随所にあしらい、専用バッジとスポーツシートを備えている。
社内の愛好家から得たアイデア
フォードのEVプログラムを統括するダレン・パーマー氏は取材に対し、マッハEラリーのアイデアは、新しい社内チーム「Always On」のラリークロス愛好家から得たものだと語った。
同チームは、顧客やソーシャルメディアからのフィードバックを注視し、無線アップデートやモデルライン追加の開発に反映させることを目的に設立されたものだ。
「チームメンバーの1人がラリークロスをやっており、彼がアイデアを出したのです。『このクルマには伝統がある。ラリークロスのバージョンを作ったらどうだろう? 過去にやってきたことと合うのではないか』と」
「アイデアがあるなら試してみる、というのがわたし達の姿勢です。そして、彼ら(Always On)は純粋な情熱でモデルを作った。ホイールを装着し、リフトアップした。そして、どんなクルマになるかをスタイリングした。わたし達は彼らに自由を与えたのです」
「そして、そのモデルを首脳陣に見せた途端、フォードが過去に行ってきたこと、そして人々が好きそうなことにとてもよく合っていると言われたんです」
パーマー氏は、同プロジェクトは構想から発表までの期間が約1年半という「ゴー・ファスト」プログラムの1つとされため、予想よりも早く結実したと説明する。「ものすごい速さでした」
マッハEラリーのプロトタイプは、本格的な「ラリー路面」でテストされたという。
パーマー氏は性能の詳細について言及を避けたが、「十分な車高を確保している」とし、極めて正確な加速制御と床下バッテリーの軽量化により、「ターマックでもその他の路面でも非常に安定している」と述べた。
生産予定台数や価格については未公表だが、トップグレードのマッハE GTが7万5000ポンド(約1380万円)であることを考えると、8万ポンド(約1470万円)前後になると予想される。