伝統と最新技術、遊び心が融合 ベントレー・コンチネンタルGT 3世代を振り返る(2)

公開 : 2023.09.20 19:06

2ドアのグランドツアラー、コンチネンタルGTが誕生してから20年 伝統と最新技術、遊び心が融合 3世代を英国編集部が振り返る

優れたバランスと敏捷性 大きな見返り

過去のベントレーと比較すれば、小柄になった初代コンチネンタルGTだが、客観的には大きな2ドアクーペであることに変わりはない。ところが、ステアリングホイールを握っていると、そのサイズを感じさせない。

シャシーの根底には、優れたバランスと敏捷性が宿る。ドライバーへ操る自身を抱かせ、充足感を与える。それでいて非常に快適。まさにラグジュアリー・グランドツアラーだ。

ベントレー・コンチネンタルGT(2代目/2011〜2018年/英国仕様)
ベントレー・コンチネンタルGT(2代目/2011〜2018年/英国仕様)

穏やかに運転している限り、走りに振ったコンチネンタルGT スーパースポーツであっても、柔軟で従順。少し意欲的に扱えば、それに見合う以上の見返りがある。特別感を伴いながら。

クーペとコンバーチブルのスタイルが選べた、初代コンチネンタルGTで提供されたバリエーションは、スピードとスーパースポーツのみ。だが2010年のパリ・モーターショーで発表された2代目では、成功を受け大幅に選択肢が広げられた。

パワートレインには、アップデートされた6.0L W12型ツインターボに加えて、アウディと共同開発の4.0L V型8気筒ツインターボも登場。最高出力500psを発揮し、最高速度は309km/hが主張された。コンチネンタルGT Sでは、521psへ強化されていた。

今回ステアリングホイールを握らせていただいたのも、その「S」。発表イベントに使用された車両そのもので、ベントレーの技術者によって見事な状態が維持されている。

伝統と最新技術、遊び心が融合

当時のAUTOCARの試乗レポートでは、V8エンジンがコンチネンタルGTの素晴らしい印象を霞ませないことへ触れている。「時代は過ぎても、その感覚は今でも特別であり続けている」。と。

W12エンジンと聴き比べれば、確かにサウンドの厚みでは劣るだろう。それでも、現在の多くのモデルより、遥かに心を震わせる響きを放つ。

ベントレー・コンチネンタルGT V8 マリナー(英国仕様)
ベントレー・コンチネンタルGT V8 マリナー(英国仕様)

インテリアは初代以上に豪華で、古さを感じさせない。指摘するなら、ダッシュボード上の液晶モニターが小さいことと、CDプレイヤーが付いていることくらい。

今回の例は左ハンドル車ながら、狭い英国郊外の道を不安なく導ける。初代と殆ど変わりない、全長4806mm、全幅1944mmあるサイズのことを、意識しなくなるほど。

だとしても、ベントレーを運転しているという事実を忘れることはない。別格の味わいがある。

そしてこれが、3代目コンチネンタルGTを導いた。試乗させていただいたのは、V8エンジン版の最上級、マリナー仕様。ダッシュボードには艶深いウッドパネルがあしらわれ、アナログのメーターが並ぶが、明らかにモダンなベントレーだ。

ボタンを押すとセンターのパネルが回転し、大きなタッチモニターが姿を表す。伝統と最新技術、遊び心が融合した、このクルマの個性を端的に表している。

一般道を走らせれば、高級グランドツアラーらしい快適性や乗りやすさはそのままに、スポーツカーへ迫る動的能力や操縦性を宿す片鱗が見える。まさに、ベントレーへ期待するものといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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