フォルクスワーゲンID.GTI 市販化へ向け開発進行中 全長4.1m、前輪駆動で合成サウンドも 2027年発売予定

公開 : 2023.09.11 18:25

VWデザイン責任者のアンドレアス・ミント氏へ独占インタビュー

――ID.GTIコンセプトの制作期間は?

「それほど多くはなく、たった3か月です。しかし、頭の片隅にはGTIのID.2がありました。わたし達はこれをスポーティなハッチバックのデザインとして考えていたので、作るのは簡単でした。ベースの時点ですでにとてもいいものでした」

VWは新型車の開発期間短縮(54か月→36か月)も計画している。
VWは新型車の開発期間短縮(54か月→36か月)も計画している。    AUTOCAR

――通常はどれくらいの時間がかかるのでしょうか?

「もっとかかりますよ。インテリアやHMIをすべて作るとなると、コストが相当かかりますし、時間もかかる。今のところ内装はアニメーションだけですが、全体像がつかめると思います。クルマの内と外には同じテーマが流れていて、両者をリンクさせています」

――デザインで気に入っている部分は?

「ホイールです。(初代ゴルフGTIの)クラシックなスチールホイールのデザインをアルミでリメイクしたものです。このようなホイール処理は今まで見たことがありません」

――このコンセプトの出発点は?

「GTIはわたし達にとってアイコンであり、EVのアイコンとして作り直そうと考えました。すべてのGTIから最高のデザインの断片を集め、それを使って新しいことをしたのです」

――個人的に好きなGTIは?

「初代ゴルフGTIです。その純粋さは、とても綺麗ですね。5000台しか計画されなかったGTIが、今では270万台も売れている。(ID.GTIの)全長は4.1mで、初代GTIと近いですね。しかし、室内空間ははるかに広い。エモーショナルで合理的なので、奥さんやご主人にアイデアを売り込むのが簡単なんです!」

――ポロGTIとゴルフGTIのどちらに近いのでしょうか?

「モデルではなく、GTIそのものに焦点を当てました。GTIをアイコンにしたものは何だったのか? その上に何を乗せられるか? ID.2はGTIにとてもよくマッチしています。安定感があり、好感が持て、秘伝のソースが使われている。この3つはフォルクスワーゲンを再び『愛されるブランド』にするための要素です。わたし達はそれを親しみやすくフレンドリーなものに仕上げた。過剰に攻撃的でもない。一部のホットハッチでは、特定の状況下できまりの悪さ(恥ずかしさ)を感じることがありますが、ゴルフGTIではありません。これは『わたしの大切な乗り物』であって、ボーイレーサーカーではないんです」

――デザインにおける『安定感』とは?

「力強く見えて、平坦に見えないもの。ビートルは、板金に安定感を与えるためにあのような形をしていました。安定感には大きな意味があり、転んでしまうようには見えません。そのため、丈夫で安定して見えるように、力強いCピラーを採用しています」

――ID時代のGTIにはどのモデルを使うのですか?

「どこにでも使うつもりはありません。一部のセグメントでは、効果的なアプローチが他にあります。ホットハッチはスタート地点です」

――RやGTXについてはどうですか?

「GTIはより現実的な世界で、ホワイトカラーのRよりもブルーカラーですね。Rはどちらかというとレコードブレーカー、ニュルブルクリンクのためのクルマ。GTXは特定のセグメントに入るもので、四輪駆動です。これ(ID.GTI)は前輪駆動で、GTIは前輪駆動のためのものになります」

――ID.2 GTIはどのくらいの価格を目指しているのですか?

「今日のところは申し上げられません。ID.2は、2万5000ユーロ(約395万円)で提供したい。この価格でこれほどのものは他にはないでしょう。初代GTIのように、より安く、より親しみやすく、より人々のためのクルマで人々を納得させることができます」

――大きなクルマより小さなクルマを作る方が楽しいですか?

ベントレーでの仕事はとても楽しかったですよ! バトゥールも短期間で完成した素晴らしいプロジェクトでした。あの時は本当に楽しかったけれど、今回もまた楽しかった。ベントレーではブランドについて、そしてブランドとは何かについて多くを学びました。1年で女王陛下のクルマを作り、ル・マンで優勝した。それがベントレーの強さであり、すごいところなんです。わたしはエモーショナルと実用性をミックスさせるような、同じようなことができないかと思い、フォルクスワーゲンに来ました」

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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