電気自動車 急速充電で異変 米、テスラ方式進む なぜ統一規格にできない?
公開 : 2023.09.12 07:05
・ホンダ、充電ポートに北米充電規格
・統一規格にできないワケ
・充電インフラの課題解決 ハードル高い
日産に次いでホンダも採用
EV(電気自動車)の充電インフラについて、アメリカで大きな動きが出てきた。
日本にとって「海の向こうの話」として静観していても良いのだろうか?
ホンダが2023年9月7日、北米で販売するEV(電気自動車)の充電ポートに北米充電規格(ノース・アメリカ・チャージング・スタンダード:NACS)を採用することを、テスラと合意したと発表した。
NACSとは、テスラが単独で普及させてきたスーパーチャージャーを、他のメーカー向けに規格としてその仕様を公開したもの。
NACSについては、ホンダ以外に日系メーカーでは日産が採用することを発表している。
さらに、GMとフォードというアメリカ自動車メーカーの二本柱がNACSの採用に踏み切っている状況だ。
気になるトヨタについて、現時点ではNACS採用に向けた動きは表面化していない。
こうしたアメリカでのEV向け急速充電インフラの変化は今後、世界のEV市場にどのような影響を与えるのだろうか?
また、日本でEV充電インフラといえば、高速道路のサービスエリア、カーディーラー、道の駅、コンビニなどでCHAdeMO(チャデモ)方式の急速充電を見かけることが多いと思う。
一方で、日本でもテスラ「モデル3」や「モデルY」の販売が着実に伸びてきている状況だ。
果たしてこれから、EV向け急速充電インフラはどうなっていくのだろうか?
なぜ統一規格にできないのか?
日本でEVを充電する場合、大きく2つの方法がある。
1つは、普通充電と呼ばれる方法だ。自宅や会社にある100V電源、または比較的簡単な電気工事をして200V電源にして、そこから専用ケーブルでEVに充電する。
最も安価な方法は、一般的にEVコンセントと呼ばれる方法で、機器の価格は数千円から1万円程度。出力は3kWだ。
さらに、数万円から数十万円出すと、出力6-8kWの普通充電器が自宅でも購入できる。
また、出力6kW級の普通充電器は商業施設などでも普及されている。
一方で、急速充電と呼ばれる方法は、その名の通り出力が高く、普通充電に比べると短い時間で充電できる。
直近では、出力40-50kWが主流で、90kWや150kWというハイスペックが、特に高速道路サービスエリア等で増えていている状況だ。
この急速充電の規格が、CHAdeMO(チャデモ)方式という。
チャデモ方式は2000年代後半、三菱アイミーブと日産リーフが発売されるタイミングで、日本の電力会社、自動車メーカー、充電機器メーカーなどが協議して発案した。
日本としては、世界に先駆けて日系大手自動車メーカーがEV大量生産/販売に踏み切ったのだから、充電インフラについてもセットで提案しようとしたわけだ。
ところが、欧米からチャデモによるEV急速充電規格のグローバル化に対して異論が出た……。