電気自動車 急速充電で異変 米、テスラ方式進む なぜ統一規格にできない?
公開 : 2023.09.12 07:05
欧米メーカーの反発とテスラの独自性
2010年代初頭、米ロサンゼルスで開催されたEVの国際シンポジウムで、欧米メーカー各社が共同会見を開き、CCS(コンボコネクター)方式を発表。欧州型CCSと北米型CCSという2本立てである。
欧米メーカーにとっては、これから拡大の可能性があるEV市場で日本に主導権を握られることを嫌ったのだ。
一方で、テスラはモデルS発売以降、テスラ独自の充電方式であるスーパーチャージャーの設置を進めていった。
結果的に、アメリカではEV市場でテスラのシェアが上がり、テスラ方式が市場実態におけるデファクトスタンダードになってきた。これを、テスラは改めてNACSと位置付けたのだ。
日本の場合、チャデモ方式が主流であるため、日本でNACSに統一される可能性は現状では低いといえるだろう。
また、中国では国家規格GBによる方式が主流だが、中国側とチャデモが連携するChaoJi(チャオジ)の普及が検討されている状況だ。
このように、グローバルでは現在、多様な急速充電規格が並存している。
ユーザーから見れば、グローバルで規格が統一されることが望ましいのは当然だ。
しかし、メーカー間の事業競争のみならず、国や地域による経済安全保障面での政治的な駆け引きも垣間見えるなど、EV充電インフラの課題解決に向けたハードルは高いと言わざるを得ない。