結果に出る動的特性の改善 最新トヨタC-HR プラグインHVへ試乗(2) 更なる成功を掴むか?

公開 : 2023.09.13 19:06

トヨタの人気コンパクト・クロスオーバーが2代目へ 個性的なスタイル一新 プラグインHV獲得 英国編集部がひと足先に試乗

プラグイン・ハイブリッドを新設定

刷新されたデザインだけでなく、2代目トヨタC-HRの開発チームは、動的特性の改善にも力を注いだという。基礎骨格をなすのは、カローラなどでおなじみのTNGA-Cプラットフォーム。最新モデルへ登用するに当たり、細かなアップデートが施されている。

サスペンションの構成は、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式と従来どおり。それでも設計は見直され、中型サルーンのカムリや、SUVのRAV4に通じる技術が採用されたとか。

トヨタC-HR プラグイン・ハイブリッド(欧州仕様)
トヨタC-HR プラグイン・ハイブリッド(欧州仕様)

パワートレインの選択肢も広げられた。初代と同じく、欧州仕様には1.8Lエンジンと2.0Lエンジンのトヨタ・ハイブリッド・システムが用意されるが、新しく2.0L版にはプラグイン・ハイブリッドも選べるようになった。

システムとしては第5世代のものがベースで、自然吸気4気筒エンジンの最高出力は152ps。そこに163psの駆動用モーターが組み合わされ、システム総合で223psを叶えている。駆動用バッテリーの容量は、13.8kWhとなる。

他メーカーのプラグイン・ハイブリッドと同じく、EVモードを指定することも可能。内燃エンジンを回さず、駆動用バッテリーの充電量だけで走れる距離は、最長66kmがうたわれる。試乗時には、約48kmへ届いた。

カーナビのマップデータを利用し、ゼロエミッション・ゾーンなどに備え、駆動用バッテリーの充電量を自動的に温存させることもできる。回生ブレーキの強さも調整でき、ブレーキペダルを踏まずに済む、ワンペダルドライブへ近いBモードも好印象だった。

結果として表れている動的特性の改善

今回の試乗では、都市部から郊外まで様々なルートを運転させていただいたが、トヨタが2代目C-HRで目指した動的特性の改善は結果として表れている。路面が荒れたルートでは落ち着きを乱さず、高速道路では安定性が高い。

コンパクト・クロスオーバーだから、ホットハッチのようにダイナミックな印象までは与えない。しかし、運転する楽しさが伴わないわけではない。

トヨタC-HR プラグイン・ハイブリッド(欧州仕様)
トヨタC-HR プラグイン・ハイブリッド(欧州仕様)

プラグイン・ハイブリッドのパワートレインはしっかり調律されており、エンジンと駆動用モーターとの引き継ぎはシームレス。EVモード時の加速は鋭く、ハイブリッド・モード時のレスポンスも良好。

中間加速の勢いにも、不満は出ないだろう。システム総合での最大トルクは、40.4kg-mもある。

システムが放つサウンドは、そんな洗練された体験と少々一致しない。一昔前のハイブリッドのように、耳障りなエンジン音が不意に高まることはないものの、稀に音量が増す時がある。活発に運転しても、聴覚的に気持ちを刺激されることはなさそうだ。

プラグイン・ハイブリッドのC-HRでは、ブレーキに2ポットキャリパーが採用される。また、ZF社製の周波数感応型ダンパーは、路面からの入力に応じて減衰力を随時変化。細かく鋭い入力は滑らかにいなしつつ、カーブでのボディロールを巧みに抑えていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

最新トヨタC-HR プラグインHVへ試乗の前後関係

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