ついに「走行税」導入か 電気自動車の普及で税収減、英国で税制改革の可能性

公開 : 2023.09.13 18:25

走行距離ごとの課税システム

財務省の、ひいては英国政府の、燃料税をめぐる議論に関与しようとしない姿勢を見かねたのか、第三者が独自の解決策を提案するようになっている。

シンクタンクの政策研究センター(Centre for Policy Studies)は5月、『The future of driving』という文書の中で、ゼロ・エミッション車に対する『pay as you drive(運転した分だけ支払う)』制度を提案した。

走行距離に応じて課税されるテレマティクス・システムも検討されている。
走行距離に応じて課税されるテレマティクス・システムも検討されている。

ZEVは走行距離に応じて一律に税金が課されるが、それでもガソリン車やディーゼル車よりもかなり低額になるという。すべての人に免税となる距離数が割り当てられるが、代替交通手段の少ない地方に住む人々には、その割り当てがより多くなる。

この走行距離ごとの課税システムは最終的に、道路を走るZEVの割合が増えるにつれて、すべての自動車に対する燃料税と自動車税に完全に取って代わることができると、政策研究センターは主張している。

走行距離データは、手作業での提出、車載機器からの送信、車両のGPS追跡など、さまざまな手段で収集される。

英国王立自動車クラブ(RAC)の調査によると、ドライバーは「走れば走るほど多くの税金を払うべき」という原則を支持しているが、政府がこのような制度を利用して課税額を増やすことに懸念を抱いているという。

RACの政策責任者であるサイモン・ウィリアムズ氏は、次のように述べた。

「答えのない疑問がたくさんあります。燃料税は単にEVへの移行を促進するために引き上げられるかもしれないが、それを実行するのにベストなタイミングはいつか。距離に応じた課税方式が最もよさそうだが、どのように適用するのか」

「大小を問わず、すべての道路を監視するためにカメラを導入するのは非常に高価であり、ロンドンではULEZ(超低排出ガスゾーン)用のカメラが破壊されるケースもあります。どのような解決策であれ、それは常識的で中立的なものでなければなりません」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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