11年ぶりロータリーエンジン復活 マツダMX-30 PHEV版の製造に「人の手」
公開 : 2023.09.14 11:11
ロータリー版マツダMX-30の国内予約が始まりました。どんなクルマで、どんなエンジンを積んでいるのか、確認していきましょう。
シリーズハイブリッドなのに「PHEV」
マツダが新型車「MX-30ロータリーEV」の予約販売を2023年9月14日から始めた。
モデル名称が示す通り、ロータリーエンジンを搭載するモデルだ。
同車の欧州仕様である「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」が2023年1月、ベルギーのブリュッセルモーターショーで公開され、日本も含めて「ついにロータリー復活!」と大きな話題となったことは記憶に新しい。その日本向けモデル名が「MX-30ロータリーEV」である。
今回、マツダが選択したロータリーエンジンの活用方法は、発電機として使うこと。ここで得られた電力をモーターに送り駆動するシステムとした。
要するに、シリーズハイブリッド車である。
ただし、シリーズハイブリッド車にしては、MX-30ロータリーEVが搭載する電池の容量は17.8kWhとかなり大きい。日系のシリーズハイブリッドと言えば、日産の「e-POWER」やダイハツ「e-SMART HYBRID」があるが、どちらも搭載する電池容量は1~2kWh程度しかない。
その理由は、MX-30ロータリーEVが、シリーズハイブリッド車あるだけではなく、プラグインハイブリッド車でもあるからだ。
言うなれば、“電動車技術をてんこ盛り”した仕様である。ユーザー目線では、電動車として多様な利活用ができることは嬉しいはずだが、MX-30ロータリーEVのような商品(製品)企画は量産化にGOがかからない場合が多いだろう。
それを量産してしまうのが、実に「マツダらしい」。
3種のMX-30 全モデルで車体を共有化
マツダは、MX-30を「適材適所に選択肢を提要する、マルチソリューション戦略のシンボル」と位置付けている。
マルチソリューション戦略とは、国・地域によって、電動化に対する規制や充電インフラの状況、そして市場の特性に応じて様々な電動車を提供するという事業方針だ。
現在、マツダには現行「マツダ3」を起点とするFFベースの「スモール商品群」、「CX-60」を起点とするFRベースの「ラージ商品群」、さらに初代「CX-5」が起点で随時進化してきた第六世代改良型という大きく3つの商品群が並存している状況だ。
その中で、スモール商品群のMX-30は、日本ではマイルドハイブリッド仕様として2020年に市場導入され、その後に電気自動車の「EV MODEL」が追加されたが、日本での販売数では圧倒的にマイルドハイブリッド仕様が多い。
一方、欧州グリーンディール政策によりBEVシフトが進行する欧州では「EV MODEL」がMX-30の主流モデルとなっている。
そこに、「ロータリーEV(日本仕様名)」が加わるわけだが、車体の基本構造はマイルドハイブリッド仕様や「EV MODEL」と同じだ。
つまり、パワートレインがある車体前部のスペースは同じであるところに、モーター、ジェネレーター、そして発電機として使うロータリーエンジンという3つを配置する必要がある。
その上で、マツダとして様々な技術課題をクリアする必要があったという。