ヴォグゾール・コルサ vs フォード・フィエスタ vs VWポロ
公開 : 2014.10.23 23:50 更新 : 2017.05.29 19:32
では3台の中でもっとも安っぽいのだろうか? 内装に関しては特にそんなことはない。ダッシュボードのエレメントはアダムから流用しているものも数点あるが、決して押し付けがましいプレミアム感の演出をしていない点には好感が持てる。小型車を求める層にコンサバティブな傾向があることをきちんと弁えているようだ。
また、へたな ’ポップ感’ を与えるかわりに、ダッシュボード中央にはタッチスクリーンが据えられ、その周囲に、街乗り用の軽いステアリングに切り替えたり、ドアロックをするための必要最低限のボタン類が配されている。その下にエアコン関連のスイッチが置かれ、こちらに関しては残念ながら質感は期待しない方がいい。
その他のマテリアルはまさに期待どおりの質感が確保されており、必要にして十分とはこのことを言うのかと、筆者はひとり感心した次第。インパネの大部分を覆うピアノブラックの素材や剛性感のあるプラスティック類だけでなく、手に触れる頻度の高いステアリング周辺などの仕上げや、ドライビング・ポジションも見事である。
フィエスタの錯雑で首尾一貫性に欠けるダッシュボードの対局に位置すると言ってもいいだろう。
フィエスタの場合、ボタンの取捨選択には間違いがないのだけれど、どう考えてもエルゴノミクスは度外に置かれているし、真ん中のヒーター・ダイヤルなんかよりも洗濯機のダイアルのほうがよほど洗練されている。シルバーのプラスティック類は、だれが見ても高級感に欠けると思うに違いない。
ただしドライビング・ポジションはヴォグゾールに負けず劣らず素晴らしく、スタッフのうちの数人は ”低すぎる” と感じたものの、概ね快適だという感想が大部分を占めた。
ところがポロのインテリアに比べると、どちらにも勝ち目がないというのが満場一致の結論。いかにフォルクスワーゲンが一貫してモデルごとに注力しているかが明白になった。おそらく読者諸兄が目隠しをしてUp!とトゥアレグに乗ったとしても、質感の違いを手触りだけで見分けるのは難しいはずだ。それくらいに素材の選択やボタンの押し心地が一貫している。
よって、ダイアルの周囲にあしらわれたリングや、各種ボタン、ギアレバーなどの素材の選び方は3台中唯一の成功事例と言える。
ドライビング・ポジションもポロの優れた点の一つ。筆者の場合はシートを一番低い所にセットして、大きく調整のできるステアリング・ホイールを合わせれば、すぐにしっくりとくるポジションを見出だせた。
リア・シートの収容力もなかなかのもので、大人4人で出かけたとしても、何ひとつ躊躇いはないはずだ。
筆者の好みのポジションにセットした時点で、居住性をランク付けすると、フィエスタ→ポロ→コルサの順になった。もっとも、フィエスタとポロの差は非常に少ないものだけれど、ポロとコルサの差は大きい。と言うのも、コルサは全長だけを見ると他のモデルよりも大きいし、ホイールベースも長くとっているにもかかわらず、荷室容量がさして他の2台と変わらないからだ。